2016 Fiscal Year Annual Research Report
ワイル超伝導相の探索とデバイス提案
Publicly Offered Research
Project Area | Frontiers of materials science spun from topology |
Project/Area Number |
16H00988
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横山 毅人 東京工業大学, 理学院, 助教 (30578216)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ワイル超伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
ワイル超伝導相とは超伝導ギャップがある運動量においてゼロになりかつバンドが縮退していない相のことであり、その運動量の近傍で準粒子はワイル方程式に従う。ワイル超伝導体もワイル半金属と同様にワイル方程式に従う準粒子による新奇な物性が期待されるがよくわかっていない。また、ワイル超伝導体は現在実験的に発見されておらず、どのような状況下でワイル超伝導が実現するか明らかにする必要がある。 申請者はワイル超伝導相が時間対称性の破れに付随してどのように現れるかを調べた。鏡映対称性のある超伝導体を考え、モデルのパラメータを変化させたときにトポロジカルに自明な超伝導体からトポロジカル超伝導体に転移する間にワイル超伝導相がどのように現れるかを明らかにした。特にワイル点に付随するモノポール、反モノポールの運動量空間での軌跡によってトポロジカルに自明な超伝導体からトポロジカル超伝導体へ転移できるかどうか判定できることを明らかにした。 また、申請者は黒リン一層からなる系であるフォスフォレンにおける超伝導を調べた。フォスフォレンは強い異方性を持っており、ある方向にはシュレーディンガー的な、別の方向にはディラック的な分散を持っており、方向に依存した特異な物性が期待される。申請者はフォスフォレンに超伝導体を接合した系を考え、アンドレーフ反射とジョセフソン効果を調べた。アンドレーフ反射とジョセフソン効果ともに強い異方性を示すことが分かった。コンダクタンスとジョセフソン電流は方向を変えると1桁程度変化することを示した。最近フォスフォレンを超伝導化したという実験的報告もあり、申請者の予言の検証が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ワイル超伝導相の新たな発現メカニズムを明らかにし、相図を得た。また、トポロジカルに自明な超伝導体からトポロジカル超伝導体へ転移とワイル超伝導の関連を明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
ワイル超伝導体の輸送現象(カイラル磁気抵抗効果、軸性アノマリー、軸性磁気効果)を調べる。カイラリティに依存したゲージ場の下でのワイル超伝導体の応答を調べる。また、渦糸状態にあるワイル超伝導体の渦糸近傍の準粒子状態及び渦糸の流れを調べる。 超伝導体としてCuxBi2Se3と空間反転対称性が破れたRashba超伝導体を考え、ボゴリューボフ-ド・ジャン方程式あるいはグリーン関数法を用いて計算を行う。研究代表者はこれらの手法を用いて研究を行った経験がある。 また、対称性の高い超伝導体を強磁性体や空間反転対称性の破れた金属に接合し、超伝導近接効果によって強磁性体や空間反転対称性の破れた金属の示すワイル超伝導の物性を明らかにする。 得られた知見をもとにワイル超伝導体を用いたデバイスを提案する。
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