2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Catalytic Skeletal Rearrangement by Precisely Designed Catalysts
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H00996
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 達 東北大学, 理学研究科, 准教授 (00333899)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 転位反応 / ヘテロ環 / アニリン / コバルト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では金属触媒による精密制御により、N-O結合の開裂を伴う転位反応を開発し、含窒素・含酸素有機化合物の効率合成法を確立する。 1)カチオン性コバルト触媒によるN-アルコキシカルボニルオキシアニリンの[1,3]転位反応:N-アシロキシアニリンの[3,3]転位反応は加熱条件(>140℃)で進行することが知られているが、我々はカチオン性コバルト触媒を作用させることにより30℃で進行し、良好な収率で2-アミノフェノール誘導体が合成できることを明らかにした。酸素18を用いた標識化実験により本反応が、前例のない[1,3]転位の形式で進行することを明らかにした。本反応は、ベンゼン環上に電子吸引基を有する基質に対して極めて効率的に進行する。特に4-トリフルオロメチルアニリンや3,5-ジフルオロアニリンなどの熱的[3,3]転位反応が適応できない基質においても良好な収率で目的生成物を得ることができる。 2)O-ホモアレニルオキシムの2,3-転位を鍵とする多置換ピリジン合成法の開発:我々はO-プロパルギルオキシムに対して金や銅、ロジウムなどのπ酸性金属触媒を作用させることにより、多様なヘテロ環へと骨格転位することを見出してきた。今回我々はその類縁構造を持つO-ホモアレニルオキシムの転位反応を検討した。その結果、α、β-不飽和オキシム部位を持つ基質に対してマイクロ波を照射することにより、熱的に[2,3]転位反応が進行し、対応する多置換ピリジン化合物が良好な収率で得られることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カチオン性コバルト触媒を用いた転位反応において、予期せず[1,3]-転位反応であることを見出したため、その検証実験を行うために時間を要したが、当初計画通り進行している。 O-ホモアレニルオキシムの触媒的転位反応においては、金属錯体による触媒効果は溶媒によって制限されるため、合成的効率性を考えて、熱的反応として論文発表した。しかしながら既に類似の反応系において金属触媒が促進することを見出しており、今後の研究への十分な足がかりを得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のアルコキシカルボニルオキシ基の触媒的[1,3]転位の知見を元に、[1,3]アルコキシ転位に展開する。既に、[1,3]アルコキシ転位が銅触媒を用いることにより円滑に進行する予備的知見を得ており、研究展開できるものと考えている。また当初予定通り、コバルト触媒によるアルコシキカルボニルオキシ基の[1,3]転位反応の不斉化を目指す。
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Research Products
(8 results)