2016 Fiscal Year Annual Research Report
Selective Deprotonative C-H Functionalization of Aromatic Compounds Using Highly Reactive CsHMDS Catalyst
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H00997
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根東 義則 東北大学, 薬学研究科, 教授 (90162122)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | CsHMDS / 脱プロトン化反応 / C-H修飾反応 / 芳香族 / 複素環化合物 / 芳香族求核置換 / 官能基 / 触媒反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
CsHMDSをTMS3NとCsFから系内で発生したCsHMDSを触媒とする新しい選択的な変換反応の開発を行うこととした。芳香複素環化合物として3,5-ジブロモピリジンを基質として4位の脱プロトン化反応を検討した。基質に対してベンズアルデヒド共存下にトリストリメチルシランの活性化剤を種々試みたところ、フッ化物の種類により反応性が異なりフッ化セシウムを用いた場合に反応が定量的に進行することが明らかとなった。TMAFやTBAFを用いた場合は反応性が低かった。3,5-ジクロロピロジンも同様に触媒的な脱プロトン化修飾が進行したが、3-ブロモピリジンや3-クロロピリジンのようなモノハロゲノ体では反応は進行しなかった。さらに基質適用範囲について検討を進めている。ピリジン環上における触媒的な脱プロトン化修飾においてCsHMDSが高い反応活性を示すことが明らかになったので、次に炭素求核剤の脱プロトン化および続く芳香環への求核置換反応を検討した。まず比較的酸性度の高いマロン酸誘導体の脱プロトン化および求核置換反応について検討を行った。2-フルオロニトロベンゼンとメチルマロン酸ジエチルの反応をフッ化セシウムおよびトリストリメチルシリルアミンの共存下において反応を行ったところ室温でも反応は進行したが、40 ℃において反応は完結し94%で置換生成物が得られた。同様に4-ニトロ体の置換反応も円滑に進行したが、3-ニトロ体は痕跡程度しか反応は進行しなかった。4-エトキシカルボニル体も収率に改善の余地は残るものの進行したが、2-エトキシカルボニル体は反応温度を140 ℃まで上昇しても反応は進行しなかった。また2-および4-シアノ体の反応も円滑に進行したが、3-シアノ体は痕跡量しか得られなかった。また2-フルオロピリジンの反応も低収率ながら進行した。さらに収率の向上に向けて条件の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
系内で発生させたCsHMDSの触媒としての能力を見積もり新たな触媒反応の開発を行うことを本研究の中心的な課題としているが、他のカチオンに比べて高い反応性が確認されており可能性は十分に示されていると考えられる。特に複素環化合物の脱プロトン化反応においてはこれまでは難しかったピリジン誘導体の変換反応にも成功し適用範囲を大きく拡大することができた。またその研究課程において芳香環上のメチル基の脱プロトン化も進行しうることが示された。これはその酸性度を考えるとこれまでの常識を超えた現象であり今後さらに適用範囲を拡大することが可能であると考えられる。セシウムカチオンの反応性を制御するために非プロトン性極性溶媒を用いたり、あるいは非極性溶媒中でクラウンエーテルを用いたりした結果、いずれにおいても高い反応性が観測された。クラウンエーテルについてはキラルなクラウンエーテルを用いる不斉1,2-付加反応についても検討しまだ低収率ではあるが、不斉誘導が可能であることが示されている。これまでの知見をもとに次年度はさらに新しい変換反応の開発が行えるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの取り組みを継続してさらにCsHMDS触媒の有用性を示していけるものと考えられる。この反応においては系内発生のCsHMDSを使用しているためその構造についてはあまり詳細に検討は行っていないが、反応機構を理解し反応が進行しない場合の理由を考察する上ではCsHMDSの溶液内での挙動を物理化学的に詳細に検討する必要があるものと考えられる。今後はこの構造に関する研究を各種スペクトルを用いて詳細に検討し触媒反応の理解とその新たな展開に活用できればと考えている。
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Research Products
(9 results)