2016 Fiscal Year Annual Research Report
フタロシアニン金属触媒系の精密設計を基盤とする環境調和型酸化プロセスの開発と応用
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H00999
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳山 英利 東北大学, 薬学研究科, 教授 (00282608)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機化学 / 酸化 / 触媒 / アミノ酸 / アミン / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、生合成の効率性や環境調和性に着目し、生体触媒を模倣する鉄フタロシアニンを用いた高活性酵素酸化触媒の開発とその応用に取り組んでいる。本年度は、主にアミノ酸とペプチドの酸化的誘導化法の開発に向けた検討を行った。その結果、酸素雰囲気下、酢酸と触媒量わずか1 mol%の鉄フタロシアニン錯体の添加により、alpha-アミノ酸であるグリシンの空気酸化と、続く求核剤の付加を経た誘導化が円滑に進行することを見出した。さらに、本反応は、無保護のヒドロキシ基、アミノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、メルカプト基などの活性官能基を有する様々なジペプチド誘導体に適用可能であり、既存の手法にはない高い官能基共存性を有するのが特徴的である。次に、この特徴を活かし、生理活性オリゴペプチドであるロイシンエンケファリンやβ-カソモルフィン誘導体に適用することで、本反応の更なる有用性を示すことができた。また、求核剤のアリル錫を適宜変更することで、イソプレニル基、プロパルギル基、及びアリール基の導入にも成功した。特に、アルキンの導入法の確立は、その後のクリックケミストリーによるケミカルバイオロジーへの展開への足がかりを築くことができたと考えられる。以上の結果より、今回開発したアミンの酸化反応は、レアメタルや化学量論量のバルク酸化剤を用いる従来法を入手容易な鉄触媒に代替しただけでなく、活性官能基を有するペプチドにも適用可能であり、従来の触媒機能を凌駕する高機能性触媒反応の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鉄フタロシアニン錯体を用いた、アミノ酸とペプチドの新規酸化的誘導化法の開発に成功した。本反応を開発することで、既存の方法論では困難であった多官能基性ペプチドの構造修飾が可能になり、本領域に新たな方法論を提供することができた。また、合成的な有用性に加えて高い環境調和性も有している点からも、本反応の幅広い産業への応用が今後期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではアニリンの選択的な空気酸化を対象としたが、本酸化条件を硫黄原子やフェノール類の酸化へと応用し、新たな空気酸化反応の開発に取り組む。また、確立した方法論をもとに、順次、生物活性天然物の合成研究を展開する予定である。フタロシアニン触媒の新規開発に関しては、フタロシアニン鉄錯体にタンパク質を担持させた新たなキラル触媒反応の開発も視野に入れる。
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Research Products
(50 results)
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[Presentation] Total Synthesis of (+)-CC-10652016
Author(s)
Taku Imaizumi, Yuki Nakazawa, Kentaro Okano, Juri Sakata, Hidetoshi Tokuyama
Organizer
The 16th Tateshina Conference on Organic Chemistry
Place of Presentation
Tateshina, Nagano, Japan
Year and Date
2016-11-11 – 2016-11-13
Int'l Joint Research
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