2016 Fiscal Year Annual Research Report
ナノポーラス金属触媒を反応場とする結合活性化反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H01000
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金 鉄男 東北大学, 理学研究科, 准教授 (80431493)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超空間反応場 / ナノポーラス金属 / 結合活性化 / 不均一触媒反応 / 触媒新機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「ナノポーラス金属材料の超空間を特殊な反応場として、多様な結合活性化における触媒的新機能・高機能を創出することにより、高難度不均一触媒的分子変換反応の開発を実現することを目的とする」。 平成28年度では、ナノポーラス金触媒の残余の銀原子が還元反応と酸化反応において異なる効果を示すことを見出した。ナノポーラス金(Au>99Ag1NPore)触媒は様々な水素還元反応(8atm)に有効であるに対して、ナノポーラス金(Au90Ag10NPore)触媒は酸素を用いた酸化反応において高い触媒活性を示す傾向があることを明らかにした。2種類のAu>99Ag1NPoreとAu90Ag10NPore触媒は金銀合金(70/30)に異なる濃度を有する硝酸電解液を用いて室温で脱合金することで作製した。2種類のAuNPore触媒を用いてアルデヒドの水素還元反応を試みた結果、水素(8atm)雰囲気下トリエチルアミン溶媒中90度でいずれの場合も残余銀が少ないAu>99Ag1NPore触媒がAu90Ag10NPore触媒に比べ高い活性を示すことがわかった。一方、ベンジルアルコールの酸素酸化反応では残余銀が多いAu90Ag10NPore触媒がAu>99Ag1NPore触媒に比べ高い触媒活性を示すことがわかった。X線光電分光法(XPS)を用いて還元および酸化反応における2種類の金表面の電子状態を調べた結果、Au>99Ag1NPoreの高い水素還元触媒活性はその大きな比表面積に由来することと、酸素酸化反応の高いAu90Ag10NPore触媒活性は金銀合金効果によるものであることが示唆された。更にAu>99Ag1NPore触媒が8大気圧の水素雰囲気下様々な不飽和結合、例えば、アルキン、イミン、アルケン、キノリン、ニトロ化合物の水素還元反応において高い不均一触媒活性を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回はナノポーラス金触媒の異なる組成により触媒活性が大きく変化することを明らかにした。これは当初予期していなかった結果であるが、ナノサイズ効果および合金作用による協奏的効果により触媒活性が特定の反応において著しく向上することは今後の新しい触媒機能の発見に繋がると考える。本研究は高く評価されアメリカ化学誌J. Am. Chem. Soc. (2016, 138, 10356)に発表された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後ナノポーラス金属触媒のナノサイズ調製や組成変化による合金効果などを活用し、細孔内を特殊な反応場として利用したC-C、Si-H、B-B、C-N結合活性化を活かす独自の触媒活性探求により新たな高難度不均一触媒的変換反応の開発が実現できると考える。
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Research Products
(7 results)