Publicly Offered Research
申請者は、遷移金属による酸化的付加ではなく、α-フッ素脱離およびβ-フッ素脱離に着目し、ビニル位炭素-フッ素結合を切断して新たな結合を形成する、すなわち炭素-フッ素結合活性化を達成した。具体的には、ジフルオロアルケンの炭素-フッ素結合活性化を利用することで、フッ素置換多環式芳香族炭化水素(F-PAH)の簡便合成法を二種開発した。まず、フッ素脱離過程を利用するために、含フッ素有機金属中間体へ誘導する手段として、ジフルオロアルケンへのカルボメタル化を採用した。すなわち、π 錯体形成によるアルケンの求電子的活性化を経て、カルボメタル化によるFriedel-Crafts型環化を行うことで、β-フルオロアルキルパラジウム中間体へと導き、続くβ-フッ素脱離によりフルオロフェナントレン骨格の構築を達成した。次に、ドミノカチオン環化による効率的なF-PAH合成を達成した。カルボニル基のジフルオロビニリデン化により合成したジフルオロアレンに対し、インジウム触媒を作用させてドミノ環化体を得た後、脱水素することによりフルオロフェナセンを収率良く合成した。この反応では、連続した二つのベンゼン環を一挙に構築でき、この環化前駆体ジフルオロアレンはフルオロアレーンより調製できるため、これらの過程を芳香環増環サイクルとして繰り返すことにより、種々のF-PAHを効率良く合成することができる。さらにフッ素脱離過程を利用するため、含フッ素有機金属中間体を得る手段としてジフルオロアルケンとの酸化的環化を採用した。すなわち、ニッケル触媒の存在下、β,β-ジフルオロスチレンにアルキンを作用させることで、2-フルオロ-1,3-ジエンの簡便合成法を開発した。ここでは、酸化的環化とβ-フッ素脱離を組み合わせることにより、ジフルオロスチレンのビニル位C-F結合のうち一本のみを切断することに成功した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
筑波大学市川淳士研究室ウェブサイトhttp://www.chem.tsukuba.ac.jp/junji_lab/
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