2016 Fiscal Year Annual Research Report
Dehydrative Formation and Transformation of Amino Acid Derivatives Using Well-designed Hydrogen Transfer Catalysts
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H01012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
斎藤 進 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (90273268)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アミド / 環状ホスファゼン / オキサゾリン / 脱水 / 精密水素移動場 / カルボン酸 / アミン |
Outline of Annual Research Achievements |
【オキサゾリン合成触媒の開発】あるN-(2-ヒドロキシエチル)アミドをモデル基質を選び、様々な環状ホスファゼン化合物を合成のうえ,触媒前駆体として使用したところある種の環状ホスファゼンN3P3L6が分子内オキサゾリン合成に非常に有効であることを見出した.この反応は平衡過程を含む.すなわち比較的低温条件下で脱離した水が反応系内に残存する場合,出発物質とオキサゾリン生成物の平衡混合物に達する.一方,水を反応系外に追い出すための,より高温条件下での1の分子内環化では,最高でTOF = ~140 h;TON >20,000を示した.触媒設計指針が「触媒の分解・失活のしにくさ」の面で妥当であることが証明された.またアルコール選択的な反応であり,チオール共存下でも触媒は失活せず,官能基選択的にオキサゾリンを与えチアゾリンは形成されない「官能基選択性」の面で十分なポテンシャルがあることが示された.基質適用範囲も広い.しかしながら不斉炭素を含む修飾アミノ酸誘導体を用いた場合,大きな課題が残った. 【ペプチド合成触媒の開発】モデル基質として二種の異なる,立体的に嵩高いアミノ酸誘導体の脱水的アミド形成反応を試した.その結果,環状ホスファゼンN3P3L6が同様に有効であることを見出した.最も嵩高い基質同士の反応である,N-保護バリンとC-保護バリンとのアミド基形成反応においてもまずまずの収率で相当するアミドを得ることに成功した.またボーナス的成果として,ジボラン化合物が芳香族カルボン酸類のアミド化に触媒として有効であることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、ある基盤骨格(トリホスファゼン骨格:N3P3L5,Lは任意のP上置換基)をもつ触媒がオキサゾリン合成とアミド合成という,異なる脱水反応を促進することを証明できた.また,それ以外の興味深い触媒系もボーナス的成果として発見できた.
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Strategy for Future Research Activity |
【オキサゾリン合成触媒の開発】問題として,現在の反応条件ではSer残基もしくはThr残基をもつアミドから分子内環化でオキサゾリンの合成は十分可能だが,どうしてもアミド基のalpha-不斉炭素の立体がエピメリ化することが避けられないことがわかってきた.非天然ペプチド合成を目指す一環としてこれを回避するひとつの方策は,オキサゾリン骨格のみにこだわるのではなく,オキサゾリジン骨格の構築へと発想を転換することである.そのための反応条件および反応剤の検討を行っていく.触媒はP3N3L5骨格を中心に試していく. 【ペプチド合成触媒の開発】様々なN-保護アミノ酸およびC-保護アミノ酸を用いて、これらの基質を用いるアミド化において基質一般性を検討し,P3N3L5骨格の触媒としての汎用性をまずは証明する.P3N3L5とジボラン化合物との協同作用を見出し,より温和な条件下での脱水的アミド化を目指す.
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Research Products
(20 results)