2016 Fiscal Year Annual Research Report
動的面不斉を有する超分子型不斉触媒の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H01016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
逢坂 直樹 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (80726331)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超分子化学 / キラリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 3,3’位に2量体および6量体からなる動的ならせんペプチド鎖をそれぞれ導入した動的に軸性キラルなbpy誘導体を新規に合成し、ジクロロメタン中、m-クロロ過安息香酸を用いてN,N’-ジオキシド化反応を行うことで、bpy-N,N’-ジオキシド誘導体のジアステレオ選択的な合成に成功した。さらに、得られた2量体を有するbpy-N,N’-ジオキシド誘導体のジアステレオマーを単離することにも成功し、これらのジアステレオマーが、アリルトリクロロシランを用いたベンズアルデヒドの不斉アリール化反応の触媒として機能することも分かった。 2. 側鎖に様々な触媒部位を導入可能なカルボキシ基を有する光学不活性なポリ(フェニレンエチニレン)誘導体を新規に合成し、そのらせん構造の誘起と安定性の制御について詳細に検討を行った結果、少量の光学活性なジアミン存在下、THF/H2O混合溶媒中、ポリマーの主鎖に一方向巻きに片寄ったらせん構造が誘起され、さらに、ジアミンの濃度の増加に伴い、ポリマーに誘起された巻き方向がらせん構造の安定性の著しい変化とともに反転することを明らかにした。 3. 動的なプロペラキラリティを有する光学活性なロジウム二核錯体を新規に合成し、アキラルなジアミンとロジウム二核錯体との配位結合を介した超分子ポリマーの形成に成功するとともに、ロジウム二核錯体の動的なプロペラキラリティをどちらか一方に制御可能であることも明らかにした。また、この超分子重合の機構が協同的に進行することも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画と期待通り、動的なキラリティを有し、触媒部位を組み込んだ超分子を、合目的的に設計・合成した。また、動的な軸不斉を有する2,2’-ビピリジン誘導体に動的ならせんペプチド鎖を介して光学活性基を導入することで、らせんペプチドの一方向巻きの誘起を介した軸不斉の遠隔制御を実現するとともに、ジアステレオ選択的なビピリジン部位のN,N’-ジオキシド化も達成した。さらに、カルボキシ基を有する光学不活性なポリ(フェニレンエチニレン)誘導体に、異なる濃度の単一のキラリティを有する光学活性ジアミンを相互作用させることで、ポリマーの主鎖骨格に右巻きもしくは、左巻きのらせん構造を誘起できるだけでなく、らせん反転前後でらせん構造の安定性が大きく変化することも明らかとした。また、動的なプロペラキラリティを有する光学活性なロジウム二核錯体にアキラルなジアミンが配位することで、溶液中、協同的に超分子ポリマー化するとともに、プロペラキラリティがどちらか一方向に優先的に誘起されることも見出した。本研究成果は、触媒活性を有するロジウム二核錯体を溶液中で超分子ポリマー化させることに成功した初めての例である。これらの成果から判断して、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に得た知見をもとに、触媒部位を有する動的なキラリティを有する超分子を、不斉空間構築のための基本骨格に用い、機能性官能基を規則的に配列させることで、複数の官能基を精密に空間配置し、高い不斉選択性や特異な触媒活性等の機能を創出するとともに、外部刺激による動的キラリティの優先性の可逆的なスイッチングや導入したらせんペプチド鎖のヘリックス-ヘリックス構造転移などの動的な構造制御を通じて、不斉選択性や触媒活性などの自在なスイッチングを目指し、以下に示す研究を推進する。 1. 前年度に合成した金属マクロサイクルやらせん状集合体が、超分子キラル構造により生じる不斉反応場に由来する特異な不斉選択性や基質選択性、触媒活性を示すかどうかを、不斉ヘンリー反応や不斉シクロプロパン化反応などの様々な不斉反応に適用し検討する。また、発現する不斉触媒能と超分子構造との相関を詳細に解析し、より優れた超分子型不斉反応場の構築に繋げる。 2. 合成した動的なキラリティを有する金属錯体やらせん状集合体は、溶媒や熱などの外部刺激に応答して、動的な構造変化を起こすことが期待される。また、らせん状集合体では、超分子らせん集合体の巻き方向も反転すると考えられ、それらの変化をCDや1H NMR測定などを用いて詳細に調べる。外部刺激による超分子構造体の動的な構造変化を駆動力とすることにより、不斉反応場や不斉空間の制御も可能と予想され、不斉選択性の反転や触媒活性のON/OFFスイッチングなど、本触媒ならではの機能の発現に向けて様々の不斉反応に適用してその実現を目指す。
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Research Products
(39 results)
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[Journal Article] Construction of Covalent Organic Nanotubes by Light-Induced Cross-Linking of Diacetylene-Based Helical Polymers2016
Author(s)
K. Maeda, L. Hong, T. Nishihara, Y. Nakanishi, Y. Miyauchi, R. Kitaura, N. Ousaka, E. Yashima, H. Ito, K. Itami
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 138,
Pages: 11001-11008
DOI
Peer Reviewed
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