2016 Fiscal Year Annual Research Report
典型元素の特異な触媒能を活用する拡張不斉反応場の精密設計と応用
Publicly Offered Research
| Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
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| Project/Area Number |
16H01021
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
橋本 卓也 京都大学, 理学研究科, 助教 (20437198)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | ボロン酸 / ボリン酸 / セレン / 不斉合成 / 触媒 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究でキノンイミンケタールとヒドロキサム酸のアザマイケル付加反応が、BINOL由来のキラルボロン酸触媒を用いることで高エナンチオ選択的に進行することを見出している。この成果に基づきキラルボロン酸触媒の分子設計の多様化と適用可能な反応の拡大を目指した。現時点では不飽和アルジミンに対してのヒドロキサム酸の付加がエナンチオ選択的に進行する触媒系を見出している。反応機構に焦点を絞った研究を行い、ヒドロキサム酸を用いたヒドロキサム酸の不斉不可反応ではジオキサザボロールという反応活性種が中間体として生じることをＸ線結晶解析により同定した。このジオキサザボロールは動的共有結合性を持っており、その性質を活かした巨大分子構築の可能性を示唆することにも成功している。
またボリン酸の触媒活性にも着目し、触媒的不斉合成への利用可能性について探索した。その結果、ボリン酸とキラルアンモニウム塩を組み合わせることでWilliamsonエーテル合成の不斉化に成功している。
また同時進行させる形でキラル有機セレン触媒による高エナンチオ選択的反応の開発にも取り組んだ。本研究は最近研究代表者らによって開発された新規キラルセレン触媒の創成と高エナンチオ選択的分子内環化反応によるラクタム合成に基づいている。この知見に基づき、まずはキラル有機セレン触媒を用いた各種求核剤の分子間不斉付加反応を検討した。現時点でカルボン酸、塩素アニオン、フッ素アニオンなどが不斉求核付加することが分かっている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ボロン酸を用いた不斉触媒反応については新しい反応系がすでに見出されている。またその中で見出されたジオキサザボロールの生成反応について詳細を詰めることにより、今後新たな拡張不斉反応場として利用できる可能性を持つジオキサザボロール動的共有結合を持つかご状分子の構築にも成功している。さらにボロン酸からボリン酸へと研究を展開させることにより、これまで触媒的不斉合成法の存在しなかったWilliamsonエーテル合成の不斉化に成功している。
セレン触媒に関しても、新規反応が数種類見つかっており、今後有効な不斉反応場を探索することにより、セレンの持つ触媒活性を十分に活かす不斉触媒の開発につながるものと考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
ボロン酸を用いた不斉触媒反応については、現段階で見出されているアルジミンに対するヒドロキサム酸の不斉付加反応を高エナンチオ選択的反応へと精緻化する。その中で鍵となる触媒設計について種々検討し、有効なキラルボロン酸ライブラリーを構築する。
新たな展開として見つかったジオキサザボロールのかご状分子については、キラルかご分子の構築と拡張不斉反応場としての利用を目標として様々な分子デザインを行う。またジオキサザボロールのの基本物性にも焦点を当てる。
ボリン酸の利用については、キラルアンモニウム塩との協働的利用をさらに進め、究極的には糖鎖やポリオールのアルコール部位を位置選択的にアルキル化するような高性能拡張反応場触媒を創成する。
セレン触媒に関しては、すでにいくつか興味深い反応が見出されていることから、今後は触媒ライブラリーの構築とそれら触媒の新反応への適用を中心に行う。特にハロゲンの付加反応についてはセレン触媒に特徴的であるため、重点的な検討を行い、高エナンチオ選択的不斉ハロゲン化反応を実現する。
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Research Products
(8 results)
