2016 Fiscal Year Annual Research Report
Precisely designed catalysts with protein scaffold as a versatile ligand
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H01025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤枝 伸宇 大阪大学, 工学研究科, 助教 (00452318)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工金属酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
水系での触媒として有力なものが酵素である。酵素は常温常圧下といった温和な条件下において非常に高難度な反応を触媒するものが多数知られており、合成化学などへの応用が期待されてきた。しかし、一般的に酵素は不安定であり、化学工業展開に期待される反応を触媒するものもあまり見つかっておらず、そのままでは利用できない場合がほとんどである。このような問題を解決するため、遷移金属錯体の反応性とタンパク質の反応場としてのポテンシャルを巧く組み合わせた「人工金属酵素」が数多く研究されており、合成された錯体はタンパク質に導入されることで分解を免れ水系でも触媒活性を維持できる。このように今後の工夫次第で従来達成が困難であった高難度物質変換反応の確立も期待されている 本年度、我々はこれらとは全く異なる独自のタンパク質-金属錯体をもとにバイオ触媒を構築してきた。金属結合部位を立体構造に基づき最適化した(4つのヒスチジンからなる金属結合位を持つ)耐熱性cupin型(小樽状)タンパク質と第4周期の遷移金属はもちろん、白金族元素イオン (Ru, Rh, Pd, Os, Ir, Pt)を高温で反応させて直接錯化することに成功し、この貴金属錯体が驚異的な安定性を示すことを明らかにした。この結果をさらに押し進め、このタンパク質金属錯体を合成系に展開した。特にOs結合型ではオレフィンのジオール化反応において、触媒回転数(TON)9000以上を観測し、位置選択性がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貴金属の強い配位結合を利用し、配位子として用いたタンパク質骨格を飛躍的に安定化した直接結合型人工貴金属酵素を創出できた。また、有機合成では金属触媒とともに立体選択性の起点として多くの配位子が用いられているが、立体選択性の制御だけでなく位置選択性を同時に制御できる配位子は多くない。しかし、本年度ではタンパク質を配位子として用いることでオレフィンのジオール化において位置選択性が見られた。つまり、タンパク質が作り出す精密制御反応場を巧く利用することができているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では本年度の結果をさらに押し進め、このタンパク質金属錯体を様々な合成系に展開する。特に、上で述べたように有機合成では金属触媒とともに立体選択性の起点として多くの配位子が用いられているが、立体選択性の制御だけでなく位置選択性を同時に制御できる配位子は多くない。金属結合サイトを様々な配位構造や配位数に変化させ、金属との様々な結合様式によって、活性を発揮させるとともに結合サイトの周りを最適化することで多彩な触媒機能を発揮することが期待できる。タンパク質を反応場とし、ジアステレオ選択性、ナンチオ選択性を同時に達成するC-C結合形成反応に挑戦する。小型タンパク質を機能的な配位子として活用し反応の位置・立体選択性を同時に自在制御することで、生体分子を使った物質変換システムに新たな切り口を提案する。
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Research Products
(7 results)