2016 Fiscal Year Annual Research Report
銅-典型金属結合種から構築される精密制御反応場
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H01031
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 拡人 広島大学, 工学研究院, 准教授 (40335708)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 銅触媒 / 典型金属 / 遷移状態制御 / 精密制御反応場構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
一方のホウ素を1,8-ジアミノナフタレン(dan)でマスクした非対称ジボロンをアルケン,炭素求電子剤と銅触媒存在下作用させると,三成分連結型のカルボホウ素化が進行することを明らかにした.配位子としては dppf が最適であり,マスク型ホウ素部位(B(dan))のみが選択的にアルケンに導入される.反応にはビニルシラン,ビニルボランなどのアルケンが利用可能であり,ホウ素部位は高い位置選択性でアルケンの末端炭素に導入される.また,ケイ素上にビニル基とホモアリル基を併せ持つ基質を用いた際にはビニル基選択的にカルボホウ素化が進行し,反応の高い化学選択性を実証できた.炭素求電子剤としては,電子供与性,および電子求引性置換基を有する種々のベンジルハライドが利用可能であるうえ,芳香環上に塩素が置換していてもその炭素ー塩素部位が損なわれることはない.また,ベンジルハライドに加え様々なアルキルハライドも用いることができた.この際の官能基許容性も高く,エステル・炭素ー塩素結合・アセタールなどの反応性官能基を損なうことなくカルボホウ素化体を得ることができた.さらに,シクロプロピルメチルブロミドを炭素求電子剤として用いた反応は,三員環の開環を伴わずに進行し,本カルボホウ素化がラジカル中間体を経由せずに進行していることを明らかにした.本反応は B(dan) 導入を伴うカルボホウ素化の初めての例であり,多彩な置換様式のマスク型アルキルボランの一段階合成法として有用である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マスク型ボリル銅種からなる精密制御反応場を非対称ジボロンの選択的σ結合メタセシスにより構築し,不飽和炭化水素類の銅触媒三成分連結型ホウ素導入反応を当初の計画通り順調に新規開拓できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
非対称ジボロンと銅触媒からマスク型ボリル銅種を選択的に発生できる成果に基づき,今後も新しい触媒的 B(dan) 導入反応の開発を軸として研究を推進してゆく.さらに,B(dan) 以外の新しい非対称ジボロンを合成し,それを鍵反応剤とする触媒的ホウ素導入反応開発も計画している.
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