2016 Fiscal Year Annual Research Report
細孔内を反応場とする脱カルボキシル化/カルボキシル化を伴う新反応開発
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H01037
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
佐藤 哲也 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (40273586)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カルボン酸 / ロジウム触媒 / 炭素ー水素結合切断 / クロスカップリング / 炭素ー炭素結合形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
カルボン酸類は、入手容易で安定なため、有機合成における重要なビルディングブロックである。種々遷移金属触媒存在下で、カルボキシル基は脱炭酸カップリングにより様々な置換基へと変換され、有用分子を与える。 一方、カルボキシル基は触媒の金属中心に適度に配位するため、配向基として機能し、近傍の炭素―水素結合を直接誘導体化することが可能となる。例えば我々は、三価のペンタメチルシクロペンタジエニルロジウム錯体を触媒として用い、適当な酸化剤存在下、安息香酸をアルケンとともに反応させると、カルボキシル基のロジウム中心への配位を鍵としてオルト位の炭素―水素結合が切断され(シクロメタル化)、続くアルケン挿入を経てo-アルケニル安息香酸を与えることを報告している。またカルボキシル基の配位が、ピリジル基等の配向基に比べ弱いため、シクロメタル化ののちに解離し、二つ目の炭素―水素結合を切断することも可能となる。このような過程を経る反応として、我々は最近、2,2-ジフェニルプロピオン酸の脱水素環化を報告している。 本研究の初年度にあたる平成28年度は、このようなカルボキシル基の特徴を利用したカルボン酸類の触媒的変換法開発について検討を行い、同様のロジウム触媒系を用いると、3-フェノキシ安息香酸でも二回のシクロメタル化を経る脱水素環化が進行することを見出した。このようなカルボン酸類のユニークな反応に加えて、同様に入手容易な基質の新規変換反応の開発にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルボキシル基の配位を鍵とする、カルボン酸類の触媒的変換法の開発を順調に進めている。今後、これらの触媒系のさらなる改良を行い、より適した反応場での高効率分子変換法へと発展させる。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま、様々なカルボン酸類の新規変換反応開発を進める予定である。触媒の配位環境等、反応場を整備することで、脱カルボキシル化を制御し、これまでと異なる生成物へと導くことにも挑戦する。さらにカルボン酸類以外の、簡便に入手容易な有機分子の触媒的変換法の開発にも取り組む。
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Research Products
(19 results)