2016 Fiscal Year Annual Research Report
チェーンウォーキングを活用したプロキラルなメチレンの不斉官能基化
Publicly Offered Research
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
16H01040
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河内 卓彌 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (70396779)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | チェーンウォーキング / パラジウム触媒 / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、各種二座配位子を用いて、パラジウム触媒によるプレニル基と4-ペンテニル基をもつ1,8-ジエンの環化異性化反応と続く酸化白金触媒を用いた水素添加反応を検討した。その結果、置換基としてイソプロピル基をもつ対称型含窒素二座配位子を有するメチルパラジウム錯体を触媒として用いてジクロロエタン中で反応を行ったところ、目的の五員環生成物のGC収率およびそのエナンチオマー過剰率が向上することがわかった。続いて、この配位子の置換基の検討を行った。第二級アルキル基であるシクロヘキシル基やs-ブチル基を用いたところ、わずかながらエナンチオ選択性のさらなる向上が見られた。一方、フェニル基や各種直鎖アルキル基を導入した配位子の場合にはエナンチオ選択性は低下した。また、イソブチル基をもつ配位子を用いた場合には、GC収率82%、78% eeと収率、エナンチオ選択性ともに検討した中で最高値となった。そこでイソブチル基をもつ配位子を有するパラジウム錯体を触媒として用いて、さらなる条件検討を行った。溶媒については、ジクロロメタンでも同様に反応が進行するもののエナンチオマー過剰率がやや低下した。またその他の有機溶媒では収率の大幅な低下が見られた。続いて反応温度について検討を行った。温度を-30℃まで低下させると、収率は低下するもののエナンチオ選択性の更なる向上が見られた。そこで、反応時間を240時間としたところ、GC収率65%、82% eeで生成物が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における検討により、チェーンウォーキングを利用したプロキラルなメチレンの非対称化に利用可能な新たな配位子群を見出すことができた。これにより、今後の本研究の発展に重要な足がかりができた。
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Strategy for Future Research Activity |
より汎用性の高いエナンチオマー過剰率決定法について検討するとともに、基質適用範囲の拡大や反応の収率・選択性の更なる向上を目指して、各種反応条件の検討を行う。また、適用可能な反応の種類の拡大を目指して、新たな反応や適用可能な基質の開発を行う。
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Research Products
(1 results)