2016 Fiscal Year Annual Research Report
ノンスピンバス希土類フォトニック結晶によるフォトン-スピンコヒーレント結合
Publicly Offered Research
Project Area | Science of hybrid quantum systems |
Project/Area Number |
16H01057
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Research Institution | NTT Basic Research Laboratories |
Principal Investigator |
俵 毅彦 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (40393798)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ノンスピンバス結晶 / 希土類 / エルビウム |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は予定通り「核スピンエンジニアリングによるノンスピンバス結晶の創生」を研究課題として取り組んだ。ノンスピンバス結晶の候補としてCe2O3、Sm2O3、Gd2O3を挙げていたが、今期は最も核スピンが小さい(ゼロである)Ce2O3のSi基板上へのエピタキシャル成長を行なった。MBE成長条件の最適化により、100nm程度の膜厚の酸化セリウムエピタキシャル膜の成長に成功し、さらにそこへ約1%濃度のErの添加も実現した。光学測定からこの添加Erは確定的なエネルギー準位を形成し、また発光寿命(T1)はEr濃度の低下に伴い約1.5msまで長寿命化することを確認した。今後ノンスピンバス化の最大の目的である位相緩和時間T2の評価を行なっていく。 これと並行してErイオン内でのポピュレーションダイナミクスの解明、およびバルク結晶中のEr位相緩和時間T2の評価をおこなた。高品質なエピタキシャル膜内で生じる濃度消光は、従来の非発光成分の増加によるものではなく、エネルギー移動によるポピュレーションの散逸が支配的なメカニズムであることを明らかにした。またErのT2(均一幅)の評価では、Erイオンの同位体制御により、Er自身が持つ電子スピンの揺らぎが抑制され、T2が4倍程度長寿命化することを見出した。これらの成果は今後ノンスピンバス結晶にErを添加する際の重要な指針となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
成長が困難と予想していた母体結晶である酸化セリウムエピタキシャル薄膜が、専用設計のMBE装置の利用および詳細な成長条件最適化により、比較的スムーズに進捗した。そのため他の材料系の成長条件検討を行う必要がなくなり、その分量子操作の舞台となるエルビウムの線形および非線形光学特性の評価を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りH29年度は「ノンスピンバス結晶中でのErイオン4f軌道電子の位相緩和時間評価」および「ノンスピンバス希土類フォトニック結晶での光子-スピン量子コヒーレント結合の実現」について取り組む。 「ノンスピンバス結晶中でのErイオン4f軌道電子の位相緩和時間評価」ではH28年度に得られたEr添加酸化セリウム薄膜では十分な信号強度が得られないため、SOI光導波路構造をベースとした新規構造を形成し、位相緩和時間を高精度に測定する。 また「ノンスピンバス希土類フォトニック結晶での光子-スピン量子コヒーレント結合の実現」ではこれまでに我々が培ってきた希土類酸化膜のSiフォトニック結晶上への選択成長技術を用いる。これによりCavity-QED効果による相互作用の増強、単一光子発生および単一光子レベルによるポピュレーションのコヒーレント操作へと繋げる。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Er3+超微細構造準位の観測2016
Author(s)
俵毅彦, G. Mariani, 清水薫, 尾身博雄, 足立智, 後藤秀樹
Organizer
秋季応用物理学会
Place of Presentation
朱鷺メッセ(新潟県新潟市)
Year and Date
2016-09-13 – 2016-09-16
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