2016 Fiscal Year Annual Research Report
Microscopic theory of superconductivity in heavy-fermion systems with itinerant/localized dual characters
Publicly Offered Research
Project Area | J-Physics: Physics of conductive multipole systems |
Project/Area Number |
16H01059
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 純也 東北大学, 理学研究科, 助教 (60513877)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 超伝導 / 重い電子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、強相関電子系の超伝導計算において必要な数値計算手法とプログラムの開発、およびそれを利用した重い電子系化合物の超伝導状態におけるf電子の遍歴・局在双対性の役割の解明である。 初年度である本年度の研究計画は、(1)化合物の電子構造を計算する第一原理計算パッケージに、多体効果を考慮する動的平均場法と超伝導の計算を行うためのデュアルフェルミオン法と呼ばれる計算法を組み合わせた計算プログラムを開発すること、さらに(2)その最初の応用として、実験的にフェルミ面が詳細に調べられているCeRu2Si2の電子構造計算を行い、新しい計算プログラムの精度を検証することであった。 本年度は、(1)の計算プログラム開発と同時に、その先の超伝導計算等で必要となる新しい計算手法開発を行った。前者に関しては、第一原理計算パッケージと動的平均場法を組み合わせたプログラム開発を行い、テスト計算の段階である。まだテスト計算の途中であるが、来年度中には公開できる結果にまとまるものと見込まれる。 後者の新しい計算手法開発に関しては、研究計画にはないものであるが、新しいアイデアから急遽実施したものであり、2篇のプレプリントとして公開済みである。ひとつめは、スペクトル計算に必要な解析接続の新手法の開発で、これまで問題であったスペクトル計算における統計誤差の予測不可能な影響を除外することができる。この成果は一粒子励起スペクトルの実験との比較において重要な役割を果たすと期待される。ふたつめは、量子多体系に対するグリーン関数を使った計算を劇的に効率化する新しい方法の考案である。この方法は多軌道系における量子多体計算において特に重要となると考えている。どちらの成果も多体効果を考慮した強相関化合物の第一原理計算的アプローチにおいて、応用を飛躍的に広げる極めて重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一原理計算に多体効果を考慮するプログラム開発に関しては、まだ最初のテスト計算の段階であり、当初の予定よりやや遅れている。本研究課題の目的である超伝導の計算までを行うには、さらなるプログラム開発とテスト計算が必要である。 一方、新しいアイデアに基づいて、この先の超伝導等の計算において必要となる2つの手法開発を行った。ひとつめの成果である新しい解析接続手法の開発は一粒子励起スペクトルの実験との比較において重要な役割を果たすと期待される。また、ふたつめの成果であるグリーン関数の圧縮手法の考案は多軌道系における量子多体計算において特に重要となると考えている。 よって、年度の始めに計画した研究自体はやや遅れているが、その先の研究を前倒しで行うことができたため、総合的には順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、まず、現在テスト計算を行っている第一原理計算+動的平均場法によるf電子系化合物のフェルミ面の計算を完遂する。そして、その手法を重い電子系の典型物質であるCeRu2Si2とその関連物質に応用し、実験と比較することにより、フェルミ面に対するf電子の多体効果の影響を議論する。 それと同時に、磁性と超伝導の計算を行うデュアルフェルミオン法を先の計算手法に組み込むプログラム開発を進める。この計算には、本年度中に新しいアイデアに基づき開発した計算手法が大きな役割を果たす。来年度中に強相関化合物の超伝導に関する最初の計算結果を出す段階まで進めたいと考えている。
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[Presentation] 多体効果の最前線2016
Author(s)
大槻純也
Organizer
J-Physics 若手夏の学校
Place of Presentation
高野山大学(和歌山県伊都郡)
Year and Date
2016-08-08 – 2016-08-12
Invited
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