2016 Fiscal Year Annual Research Report
準周期構造を持つ重い電子系における価数転移
Publicly Offered Research
Project Area | J-Physics: Physics of conductive multipole systems |
Project/Area Number |
16H01066
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古賀 昌久 東京工業大学, 理学院, 准教授 (90335373)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 価数転移 / 準結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
2012年、強相関準結晶Au-Al-Yb 系において、帯磁率や比熱にべき発散が出現する量子臨界性が名古屋のグループにより発見された。この準結晶の量子臨界性は希土類イオンYbの価数揺動と関連していることが実験的に示唆されているが、周期性を持つ近似結晶では量子臨界性が現れていない。したがって、この系における量子臨界性を理解するには、強相関効果と準周期性を取り扱う必要がある。しかしながら、この準周期系に関する研究は、相関の無い系に関する解析が古くからなされているが、強相関効果についてはあまりなされていなかった。そのため、準周期系における強相関効果、中でも価数揺動現象・価数転移を系統的に調べ、新奇な量子現象の可能性について調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元ペンローズ格子を用いて、準周期系における価数転移の理論を展開する。これまでの解析においては、実空間動的平均場近似における不純物問題の解法に非交差近似を用いてきた。この方法は、シンプルなダイアグラムのみを取り込む方法であり、高温強相関領域においてよい近似法であることが知られている。この解析により、あるパラメタ領域において、近藤状態と価数揺動状態の共存を明らかにした。この共存状態は、準周期格子のサイトに強く依存するため、降温にしたがい電子構造が変化することが期待される。しかしながら、非交差近似の特性のため、極低温の物性について明らかにすることはできなかった。本研究では、高温から低温まで精度良く計算することのできる量子モンテカルロ法を用いて解析を行い、電子構造の変化や価数転移について明らかにした。また、超伝導の可能性についても議論を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
強相関系における準結晶構造の効果についてより深く解析を行うため、厳密なアプローチを行う。ここでは、ペンローズハバード模型における磁気的性質について詳細に調べることにより、強相関系における準周期構造の役割について明らかにする。
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Research Products
(12 results)