2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Search for Low-Mass Black Holes By Optical Variability
Publicly Offered Research
Project Area | Why does the Universe accelerate? - Exhaustive study and challenge for the future - |
Project/Area Number |
16H01088
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諸隈 智貴 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10594674)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光学赤外線天文学 / ブラックホール / 活動銀河核 / 光度変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに取得した8.2m すばる望遠鏡広視野カメラHyper Suprime-Cam (HSC)の高頻度観測データを再解析し,低質量ブラックホールを持つ活動銀河核(AGN)の候補天体を選出した.これらの天体のブラックホール質量を測定するための分光追観測提案(米国・キットピーク天文台Mayall 4m望遠鏡・可視分光器KOSMOS)が採択された.この観測により平成29年度に候補天体のブラックホール質量の測定を行う.すばる望遠鏡HSCデータから見つけた1候補天体の分光同定・ブラックホール質量測定については,初期成果として平成28年に査読論文を1本発表した.
1.05m木曽シュミット望遠鏡広視野カメラKiso Wide Field Camera (KWFC)を用いて,既知の低質量ブラックホールを持つAGNに対して,1時間以下の時間間隔での光度変動を調べた.計20天体に対してモニター観測を行い,光度変動の構造関数を作成し,9天体から有意な光度変動を検出した.また,より質量の大きいブラックホールを持つAGN(クエーサー)と比べて,これらの低質量ブラックホールAGNは,特に数時間程度の短い時間スケールにおいて,より大きな光度変動を示すことがわかった.これは,本研究で推進している,短時間光度変動を利用した低質量ブラックホール天体の効率的な選択が可能であることを示している.これらの結果は谷口由貴氏の修士論文(東京大学・天文学専攻)としてまとめられた.
上記2つの研究成果は,日本天文学会他の研究会で発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すばる望遠鏡HSCデータから見つけた低質量候補天体に対して,平成28年度に分光追観測を行うことを計画していたが,申請していた提案書が採択されなかったため,行うことができなかった.年度後半に提出した観測提案は採択され,平成29年7月に観測が割り当てられており,研究が進展すると考えている. 一方で,この間,既知天体に対するモニター観測を行うことで,低質量ブラックホール天体の少なくとも一部については,光度変動の時間スケールが実際に短いと考えられることがわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
採択された分光追観測を平成29年7月に行い,ブラックホール質量を測定する.目論見通りに低質量であることがわかれば,その結果を査読論文としてまとめる.また,木曽シュミット望遠鏡高頻度観測データを用いた,既知天体の光度変動の評価をまとめる.
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