2016 Fiscal Year Annual Research Report
Connection between Terascale New Physics and the Evolution of the Early Universe
Publicly Offered Research
Project Area | Why does the Universe accelerate? - Exhaustive study and challenge for the future - |
Project/Area Number |
16H01093
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
柿崎 充 富山大学, 大学院理工学研究部(理学), 助教 (90612622)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 素粒子論 / 宇宙論 / 重力波 / ヒッグス粒子 / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、素粒子物理学の標準理論を超えたテラスケール新物理模型と初期宇宙の発展の間のつながりに関する研究を行っている。テラスケール新物理模型が予言する各種高エネルギー実験での兆候と宇宙観測でのそれとの間の相関関係を調べ、得られる実験データと比較し、多角的な観点から様々な模型を選別することで真の物理理論に迫ることを目的としている。 本年度は主に、拡張されたヒッグスセクターを持つ模型において、強い1次的電弱相転移由来の重力波に着目した研究を行った。まず、付加的に導入された複数のアイソスピン1重項スカラー粒子が古典的スケール不変性を持つ模型において予言される重力波スペクトルを計算した。そして、同じヒッグス3点結合を予言する古典的スケール不変性のない同様の模型と本模型とを将来宇宙空間で行われる重力波観測により区別できる可能性があることを指摘した。また、付加的アイソスピン1重項ヒッグス粒子を導入した模型においても重力波スペクトルを計算し、加速器実験における各種ヒッグス結合の測定と将来の重力波観測を組み合わせることで、この模型を多角的に検証できることを示した。 その他に、アイソスピン1重項と2重項の複素スカラーが混合した粒子が熱的暗黒物質になる模型の現象論的解析を行った。現在の実験データから許される本模型の典型的なパラメータ領域を3種求め、これらのパラメータ領域は今後の暗黒物質直接検出実験、ヒッグス粒子の不可視崩壊幅の測定で探索できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重力波研究に関しては、以前は古典場が1個しかない模型でのみ重力波スペクトルの計算を行っていたが、古典場が2個ある模型でもこの計算が可能になった。また、暗黒物質研究に関しては、複素スカラー粒子が熱的暗黒物質となるシナリオについての予備的研究を遂行し、同じ粒子が非対称暗黒物質となるシナリオと比較するための下地ができた。このように本研究課題は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られた研究成果を今後深く発展させていく。重力波研究に関しては、これまで簡単のため無視してきたCP対称性を破る効果を取り入れた研究を行う。そして、重力波と電弱バリオン数生成シナリオとの関連や電気双極子能率測定実験から得られる制限などについて調べていく。暗黒物質研究に関しては、ユニバーサル余剰次元模型が予言する加速器実験や暗黒物質探索実験で期待される兆候について探っていく。また、非対称暗黒物質シナリオが実現される模型においても同様の現象論的解析を行っていく。
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