2016 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙初期ゆらぎの量子性と情報量
Publicly Offered Research
Project Area | Why does the Universe accelerate? - Exhaustive study and challenge for the future - |
Project/Area Number |
16H01094
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南部 保貞 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (40212112)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多体間エンタングルメント / ディスコード |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) インフレーション宇宙における2つの空間領域間のエンタングルメントの消失を最初に明らかにした解析(Y.Nambu2008)においては,空間領域間のエンタングルメントを評価するにあたって各々の領域におけるインフラ トン場の値を平均値で代表させることで(1自由度) ×(1自由度)の2体系に置き直した.これは一般の(n 自由度)×(n 自由度)の2体系に対しては,系の状態から評価できるネガティビティの値の有無がエンタングルメントの 有無に対する十分条件しか与えないためであった.しかしながら,領域間のエンタングルメントの振舞いに対してより正確な評価を与えるためには(n 自由度)×(n 自由度)の2体系に対するエンタングルメントの有無をきちんと判定する必要がある.そのための数値計算コードを開発して多体間エンタグルメントの効果を解析した.数値的誤差が蓄積しやすい状況のため,現時点では正確な結論を得るには至ってないが,領域間の距離がホライズン長さを越してもnegativityは領域間距離とともに減少するのみでゼロとなる徴候は見えていない.これは場の測定法(有限自由度で見るか無限自由度で見るか)によってエンタングルメントの振舞いが異っていることを示唆する.
(2)量子場から取り出し得る情報量を評価するために,ガウス測定の場合におけるdiscordの一般的公式の導出を行った. これは可能なガウス測定全てに対する最適化操作を行うことで得られる.インフレーション宇宙の場合の評価はまだ試みていないが,公式中に含まれるsqueezing parameterを動かしたときにそれに応じて取り出し得る情報量の変化ならびにそのときのseparabilityの振舞いについを評価した.
(3)Wheeler-DeWitt方程式を用いる量子宇宙論において,インフレーション宇宙を実現するために必要な波動関数に対する境界条件の確率分布をベイズ統計の立場にもとづいて評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに進める.
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