2016 Fiscal Year Annual Research Report
複数場インフレーションモデルの検証に関する理論的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Why does the Universe accelerate? - Exhaustive study and challenge for the future - |
Project/Area Number |
16H01103
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
横山 修一郎 立教大学, 理学部, 助教 (80529024)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インフレーション / 初期ゆらぎ |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙の極初期に起こったとされるインフレーション理論は近年理論的にも観測的にも広く支持されている。しかし、理論模型は多様化・複雑化しており、今後も様々な観測的検証が必要であると考えられる。本研究では、特に超対称性理論をはじめとする高エネルギー領域での素粒子理論に基づく、場が複数存在する宇宙におけるインフレーション模型の検証を目的とする。 まず、平成28年度では、研究計画にも記した物質等曲率ゆらぎの精密評価に関する研究を行った。具体的にはカーバトンシナリオと呼ばれる模型に着目し、暗黒物質としてWIMP particlesを考えた。宇宙マイクロ波背景輻射の観測から得られた暗黒物質等曲率ゆらぎに対する制限から、この模型は厳しく制限されていたが、本研究でより詳細に暗黒物質等曲率ゆらぎの生成について考察したことで、模型への制限が従来よりゆるくなることが明らかになった。この内容は現在論文としてまとめており、平成29年度中には投稿する予定である。さらに将来の電波望遠鏡を用いたより小スケールの物質ゆらぎの観測による、複数場インフレーション模型の検証可能性に関する研究も行い、これも平成29年度中に論文を投稿する予定である。 また、研究計画にも記した初期ゆらぎの非ガウス性に関するconsistency relationを破る模型を拡張し、宇宙マイクロ波背景輻射温度ゆらぎの大スケールに現れている異常性を説明できる模型を提唱した。他に「宇宙論的観測で探る初期揺らぎの非線形性と初期宇宙モデルの検証」(若手B)という研究課題と関連した研究も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に書いた研究が、論文としてまとめることができる見通しが立っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず研究実績の概要にも書いた研究成果を論文としてしっかり発表する。また平成29年度は複数場なのか単一場なのかを区別する際に重要な初期揺らぎのconsistency relationに焦点を当てて、計画にも書いたより広いクラスのインフレーションモデルに対して成立するconsistency relationを導出する。さらには将来の観測計画を念頭に置き、観測的にそのrelationをどこまで精密に測定できるかについての議論も行う。
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