2017 Fiscal Year Annual Research Report
従来手法を統合した下部マントルにおける融解現象の理解
Publicly Offered Research
Project Area | Interaction and Coevolution of the Core and Mantle: Toward Integrated Deep Earth Science |
Project/Area Number |
16H01115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新名 良介 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任准教授 (00769812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地球・惑星内部構造 / 地殻・マントル物質 / 固体地球物理学 / 岩石・鉱物・鉱床学 / 下部マントル / 融解 / ダイヤモンドアンビルセル / 高温高圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球下部マントルにおける融解現象を理解するために研究を推進した。当初の計画どおり、最終年度である本年度は地球内部融解現象を再現する実験と、論文・学会発表を通した成果報告を中心に計画を遂行した。昨年度までの技術開発の結果、レーザー加熱と温度決定用分光測定の自動化が進んだ。その後比較的新しい加熱方法である内部抵抗加熱式ダイヤモンドアンビルセル(DAC)に対しても容易に応用が可能であると着想し、システムに改良を加えて実用化をした。その結果、内部抵抗加熱DACとしては世界最高到達温度圧力となる290万気圧、5500ケルビン(地球内核条件に相当)という高い温度圧力において半自動的に温度を連続決定することが可能となった。この新しく開発した技術を用いて実験を行い、得られた実験データから地球の内核境界と核マントル境界の温度を制約した。結果から、15億年前から今日まで、マントル最下部においてマントル物質のグローバルな溶融は起こっていないだろうことが明らかになった。また、下部マントルにおける融解現象を明らかにするため、従来考えられてこなかった三価鉄、Fe3+が固相・液相相関係に与える影響を実験的に決定した。得られた結果から、下部マントル最上部において高酸素雰囲気異常が存在すると、融点が大きく下がり、部分融解を起こす可能性が明らかになった。高酸素雰囲気物質に富むメルトが上昇し、下部マントルへ高酸素雰囲気物質が沈み込むことを妨げるようなプロセスが示唆された。 以上のように、研究計画の目標に対して実験技術開発と科学的発見の両面において大きな進展が見られた。本年度の研究成果としては、国際学術誌に7本の論文が公開され、1本の論文が印刷中、4本の論文が査読中である。また国際学会において3件、国内学会において2件の研究成果発表を行った。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(12 results)