2016 Fiscal Year Annual Research Report
地球自由振動の解析による核‐マントル境界領域と内核の構造に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Interaction and Coevolution of the Core and Mantle: Toward Integrated Deep Earth Science |
Project/Area Number |
16H01121
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
須田 直樹 広島大学, 理学研究科, 教授 (10222069)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地球自由振動 / カップリング / 構造係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地球のマントル最下部や内核に関する不均質性や異方性について,大地震により励起された地球自由振動のスペクトルを解析して明らかにすることを目的としている。実際の地球の自由振動モードは,球対称モデルのモードに比べて複雑に分裂・干渉している。それらに加えて内部構造の非弾性による減衰のため,個々のモードをスペクトルのピークとして周波数軸上で同定することは一般には不可能である。モードは,観測スペクトルにおいて分裂を示さないか,または不完全に分裂した「みかけのピーク」として現れる。研究代表者らは,そのような見かけのスペクトルピークの複素周波数をデータとして,モードごとに定まる構造係数(後述) を求めるためのインバージョン法を開発し(Shibata et al. 1991),実際の解析に応用してきた(Suda et al. 1991; Kumagai et al. 1992)。これまでの研究では,周波数軸上で孤立したスペクトルピーク(マルチプレット)として観測されるモードのみを扱ってきた。しかし,マントル最下部や内核のように顕著な不均質性や異方性の存在が予想される領域をターゲットとする場合,解析には複数のマルチプレット間の干渉を考慮する必要がある。本年度では,単一マルチプレット内の干渉のみを扱っている既存のソフトウェアを,複数のマルチプレット間の干渉を扱えるように拡張した。この拡張に関して詳細な数値実験を行い,可用性を確認した。これによって次年度では実際のデータ解析が行えるようになった。 また,1990 年から2015 年までのM7.6 以上の地震およそ90 個について,IRIS, IRIS, GEOSCOPE, NCDSNのSTS-1型地震計記録を収集した。これらについては次年度のデータ解析で使用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では本年度内に次の(1)-(4)を遂行する予定であった:(1) データ収集,(2) インバージョン法の改良,(3) データ解析,(4) 内核モード検出の試み。「研究実績の概要」に示した通り,(1), (2)については予定通り終了しているが,(3), (4)については未着手である。これは(2)のインバージョン法の改良において,従来のソフトウェアの逆問題解法の部分が古いメインフレーム計算機に依存していたため,その部分の改変に時間がかかってしまったからである。現在はすべての計算がワークステーション上で行えるようになっている。(3), (4)についてはデータおよびソフトウェアの双方の準備ができており,次年度で遂行する予定である。このように,進捗の遅れは単に時間の問題であり,研究遂行の上で本質的に修正を要する点は無い。
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Strategy for Future Research Activity |
CMB ストンリーモード,それ以外でCMB 領域にエネルギーを持つモード,内核モード以外で内核にエネルギーを持つモードは多数存在する。それらの検出可能性を理論的な励起計算を行って検討し,解析に使用するモードを決定する。その後,存否スペクトル法(Kumazawa et al. 1990) で広帯域地震計記録のスペクトル解析をおこない,スペクトルの見かけのピークの複素周波数を求める。それらをデータとして本年度作成したソフトウェアでインバージョンを行い,モードごとの構造係数を求める。 様々なスタッキング法により,周波数軸上で孤立した内核モードの検出を試みる。内核モードが検出できなかった場合は,そのことを用いて内核のQ 値の上限を決める。構造として既存の3 次元地球内部構造モデル(e.g. Ritsema et al. 2011) を,震源としてグローバルCMT を用いて,内核のQ 値を様々に変えて理論的な内核モードの振幅を計算し,実際のノイズレベルを考慮して内核モードが検出不能となる内核のQ 値の上限値を決定する。
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