2016 Fiscal Year Annual Research Report
共有結合を介して標的を阻害する高選択性中分子阻害剤の汎用創製手法の確立
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01131
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 佑樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70570604)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペプチド / 中分子 / 阻害剤 / 共有結合形成 / in vitro selection |
Outline of Annual Research Achievements |
【本研究の目的】中分子化合物を医薬品や研究ツールとして活用する試みが近年盛んに行われている。本研究では、改変翻訳合成系を用いた大規模中分子ライブラリーの構築と試験管内選択を行い、任意の生物活性を有する中分子化合物をテーラーメイドに『創製』する新技術の確立を目標とする。具体的には、Targeted Covalent Inhibitor(TCI)として機能する環状ペプチド中分子の創製を目指す。
【研究実績の概要】TCIを開発する上での技術的な難しさは、1共有結合を介して対象を強力に阻害できてしまうため、高い標的選択性が不可欠である、2酵素の触媒機構に関与しないアミノ酸と反応する必要があるため、高い共有結合形成能が求められる、の二点に集約される。その解決策として、広い作用面を介して標的と相互作用できる中分子の試験管内分子進化法の活用(1の解決策)と、共有結合形成能を自在に調節できる反応性官能基(tunable Reactive Group, tRG)を新たに開発する(2の解決策)ことを本計画では提案した。具体的には、A. tRGの開発とカタログ化、B. RGを有する環状中分子ペプチドライブラリーの構築と試験管内選択システムの確立、C. tRGによる中分子TCIの反応性調節戦略の実証、という三つのマイルストーンを設定し、これらを順次達成することで、上述の最終目標に到達する計画である。 本年度は、イソシアネートの等価体であるblocked isocyanateを基盤としたtRGの新開発を行った。途中、有機化学合成装置に不測の故障が生じたため、計画の調整を要したが、複数のtRG含有アミノ酸の設計と合成を完了した。最終的には当初の計画通りに、合成したtRG含有アミノ酸が設計したとおり可変性の化学反応性を示すことを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、複数のtRG含有アミノ酸の合成を完了し、それらが設計したとおり可変性の化学反応性を示すことを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に開発を完了したtRG含有アミノ酸を用いて、環状中分子ペプチドライブラリー を構築する。さらに、実際に試験管内選択実験によりペプチド阻害剤を取得した後、tRG構造を変 えることで得られた中分子阻害剤の共有結合形成能の調製を実証する計画である。
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