2016 Fiscal Year Annual Research Report
機能集積型固相触媒を鍵とする生物機能分子ライブラリー構築のためのフロー精密合成
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮村 浩之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00548943)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高分子固定化触媒 / 反応集積化 / 金属ナノ粒子触媒 / 不斉合成 / フロー合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,まずキラルジエン配位子を共有結合でスチレン誘導体と連結したモノマーを合成し,架橋可能部位を有するモノマーとの共重合ポリマーを調製した.本共重合高分子を担体としてRhナノ粒子およびRh/Ag合金ナノ粒子を高分子カルセランド法で担持したキラルジエン配位子一体型金属ナノ粒子触媒の調製に成功した.これらの触媒はキラルジエン配位子の外部添加なしに高収率,高エナンチオ選択性をもってアリールボロン酸のα,β不飽和カルボニル化合物に対する不斉1,4付加反応を触媒することが明らかとなった.回収,再使用性にも優れ,活性,選択性の低下なしに複数回の再使用が可能であった.本触媒はキラル配位子の外部添加を必要としないため,本触媒をカラムに充填し基質を流通させることで反応を行うフロー反応系への展開が期待できる.一方で金―パラジウム合金ナノ粒子とキラルリン酸触媒を同一担体に固定化した二機能性不均一系触媒を開発した.本触媒はアルコールのアルデヒドへの酸素酸化反応と続く不斉アザFriedel-Crafts反応の集積化に有効に機能し,目的物を高収率,高エナンチオ選択性で与えた. また,本触媒は活性と選択性を維持したまま簡便な操作のみで回収,再使用が可能であった.また,Nヘテロサイクリックカルベンを架橋構造に有し,パラジウムナノ粒子を担持した不均一系触媒を新たに開発した.本触媒は架橋構造であるNヘテロサイクリックカルベンがPdナノ粒子に対する配位子としても働きSuzuki-Miyauraカップリング反応で高い活性を示した.さらに,キラル相関移動触媒の架橋高分子への固定化を行いグリシンShiff塩基の不斉Michael反応において高い活性,選択性を示した.本触媒とジメチルポリシランを物理混合することで回収,再使用性が格段に向上するという興味深い知見も得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の予定通り,キラル配位子―金属ナノ粒子一体型固相触媒の開発に成功した.さらに,キラルリン酸触媒やキラル相間移動触媒の高分子担体への固定化にも成功し,これらの触媒が高い活性,高いエナンチオ選択性を持って機能することを見出した.これらの不斉合成に有効な高機能性不均一系触媒を基盤として,本年度はフロー反応系への展開や,他の不均一系触媒反応との集積化等を行いより高度な反応系が構築できると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,本年度開発したキラルジエン配位子―金属ナノ粒子一体型触媒のさらなる触媒調製条件の最適化を行う.具体的には高分子担体中でのキラルジエン配位子と金属ナノ粒子の比率の最適化,合金ナノ粒子触媒における二種類の金属の混合比率の最適化が挙げられる.より高活性かつ高選択性を示す触媒を開発することで,より効率的なフロー反応系が実現できると考えられる.一方で,昨年度開発した不斉合成に有効な高分子固定化キラルリン酸触媒やキラル相間移動触媒と不均一系触媒による酸化還元反応との反応集積化を行う.さらにフロー反応系の連結による空間的反応集積化を目指す.当研究室で開発された触媒反応のみならず,領域に所属する班員との共同研究による反応集積化も積極的に行う予定である.
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