2016 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of middle size guanidine alkaloids with voltage-gated sodium channel inhibitory activity
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01134
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
長澤 和夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10247223)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サキシトキシン / ゼテキトキシン / 電位依存性ナトリウムチャネル / テトロドトキシン抵抗型 / 構造活性相関 / 貝毒 / 矢毒ガエル |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性ナトリウムチャネル(NaVCh)は、重要な生命活動電位を担う膜タンパク質である。NaVChは10種のサブタイプが報告されており、個々に痛覚、心拍、筋収縮等の生命活動と密接に関係しており、いずれも重要な創薬標的である。これら10種類は、ふぐ毒テトロドトキシンに対する感受性の違いによりTTX-感受性型とTTX-抵抗型に分類される。TTX-感受性型NaVChを阻害する化合物は、テトロドトキシン、貝毒サキシトキシン等が知られているが、TTX-抵抗型NaVChを特異的に阻害するリガンドがない。従って、TTX-抵抗型NaVChを標的とする創薬研究(がん性疼痛薬、抗不整脈剤)が遅れている。 山下(東北大学)等は、矢毒ガエルからSTXの中分子型類縁体としてゼテキトキシン(ZTX)を単離した。ZTXは、TTX-抵抗型NaVChを含む全てのNaVChに対して、TTX、STXを上回る極めて強力な阻害活性を示す。しかしTTX-抵抗型への特異性はない。そこで、本研究では、ZTXの基本骨格合成法を確立し、ZTXの特異な大環状構造とN7位に着目した構造展開を行うことで、TTX-抵抗型NaVChを特異的に阻害するリガンドの創製を目的した。 ZTXの基本骨格を合成するにあたり、STX 骨格中、C11位への炭素-炭素結合形成とC13位の水酸基の酸化を行う必要がある。今年度はまずC11位へZTXの大環状骨格を構築するための足がかりとなるイソキサゾリジンアルデヒドの導入を検討した。その結果、向山型アルドール縮合反応を用いることで、20-30%の収率で目的とする縮合化合物を得ることができた。またC13位に関しても、酸化剤としてAZADOを用いることで1級水酸基をカルボン酸へ酸化することができ、ついでカルボン酸を環状イソキサゾリジンと反応させ、アミド構造の構築に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ゼテキトキシン(ZTX)の基本骨格を合成するための基盤構築を検討した。ZTXは、サキシトキシン(STX)の骨格中に特徴的な大環状構造を有する。検討の結果、向山型アルドール縮合反応、AZADOを用いた酸化反応を用いることで、大環状構造の構築を行うために必要な全ての官能基化を行うことができた。 またこれに加え、大環状構造構築のための合成中間体であるシリルエノールエーテルを用い、様々なアルデヒドと向山型アルドール縮合反応を行うことで、C11が官能基化されたZTX誘導体を合計5種類合成することができた。これらについて、NaVChに対する阻害活性評価を行うこともできたことから、研究は当初の計画とおり順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画とおり、ZTXの基本骨格の合成を検討する。基本骨格を構築するための手法は確立したので、特徴的なZTXの大環状骨格の構築を検討する。この際、C11で炭素-炭素結合を形成することで大環状構造を構築する方法、またC13位で大環状アミド化を行う手法、の2通りが考えられる。いずれの方法も検討を行ない、より効率よい合成手法を確立する。 また、基本骨格合成研究と並行して、ZTXの誘導体合成を検討する。C11に加え、N7位に着目した誘導体の合成を検討し、合成した化合物のNaVChに対する阻害活性をパッチクランプ法により評価することを計画する。これにより、TTX-抵抗型NaVChに対する阻害活性を有する化合物の創製を行う。
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Research Products
(26 results)