2016 Fiscal Year Annual Research Report
超高効率なマイクロフローアミド化法の開発と中分子フェグリマイシン合成への展開
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01138
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
布施 新一郎 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00505844)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペプチド / 天然物 / フェグリマイシン / NCA / 置換フェニルグリシン / マイクロフロー / 瞬間混合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究では、α-アミノ酸-N-カルボキシ無水物の調製とそのマイクロフローアミド結合形成反応への利用、さらに開発するアミド結合形成反応を利用した天然由来抗菌・抗HIVペプチド、フェグリマイシンの全合成を目的とした。マイクロフロー法を用いてα-アミノ酸-N-カルボキシ無水物の新調製法を発見し、調製したα-アミノ酸-N-カルボキシ無水物を用いてアミド結合形成を検討した。しかしながら、α-アミノ酸-N-カルボキシ無水物の反応性が予想以上に低かったため、目的物は得られたものの、目標収率におよばない結果となった。本検討に関しては、次年度も継続することとした。 α-アミノ酸-N-カルボキシ無水物を用いるアミド結合形成法は原子効率が非常に高く、生じる夾雑物も除去しやすいことから理想的な方法であるが、以上の結果を受け、申請者らが過去に開発した対称酸無水物法によるフェグリマイシンの合成検討も並行して進めることにした。対称酸無水物法では、アミンとして用いるアミノ酸に対して、カルボン酸として用いるアミノ酸を二倍量以上要する点が短所であるが、カルボン酸を回収、再利用することによりこの点を補った。フェグリマイシンは多数の置換フェニルグリシンを有し、これらは天然に存在する全てのアミノ酸の中でも最も副反応のラセミ化を起こしやすい。検討の結果、対称酸無水物法によりラセミ化を抑えつつ、高収率で置換フェニルグリシンを連結してペプチド鎖を伸長することに成功した。過去にフェグリマイシンは副反応の起こしやすさから、1残基ずつペプチド鎖を伸長する直線的な合成戦略では全合成は不可能とされていたが、これを実現することに成功した。本成果はNat. Commun.誌に報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
α-アミノ酸-N-カルボキシ無水物を用いるアミド結合形成法の開発では、予想外の苦戦を強いられたものの、マイクロフロー法を用いてα-アミノ酸-N-カルボキシ無水物の新調製法を発見し、また、天然物フェグリマイシンの直線的合成戦略にもとづく世界初の全合成を達成したため、本研究課題はおおむね順調に進捗したと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
α-アミノ酸-N-カルボキシ無水物を用いるアミド結合形成法について、さらなる条件検討を継続する。また、もし良好な成績を得ることが難しい場合は、対称酸無水物法の欠点を補う、混合炭酸無水物法によるアミド結合形成法も検討する。
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Research Products
(13 results)