2016 Fiscal Year Annual Research Report
反応集積化による高効率含窒素中分子合成反応の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01143
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
八谷 巌 三重大学, 工学研究科, 准教授 (50312038)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中分子 / 反応集積化 / マイクロフロー合成 / 含窒素 / イミン / イミノエステル / アミノエステル / β-ラクタム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らはイミノシクロブテノンの還元反応によって得られるアミノシクロブテノンの熱的開環-閉環反応により、抗生物質の代表的な骨格の一つでありかつ含窒素化合物を立体選択的に合成するための有用なビルディングブロックである、キラルなcisおよびtrans-β-ラクタム化合物の高ジアステレオおよびエナンチオ選択的合成法を既に見出している。また、α-スルホキシイミノエステルに対し、Grignard 反応剤を用いることでN,N-ジアルキル化が進行することを見出している。そこで平成28年度は、含窒素中分子の高効率合成のためのマイクロフロー合成を利用した連続反応プロセスに、三重結合を有するアルキニルイミンおよびα-イミノエステルが有用な出発物質であることを明らかにし、多段階を要する含窒素中分子合成に貢献することを目的に検討した。その結果、塩化アルミニウムとアルキニルイミンを1,2-ジクロロエタンに溶かすことによりフローシステムに用いることができ、良好な収率で多置換イミノシクロブテノンの合成に成功した。また、α-スルホキシイミノエステルに対し、Grignard 反応剤を用いたN-モノアルキル化を検討した結果、バッチ条件では目的のN-モノアルキル化体を選択的に得るために-78 ℃で行う必要があったが、マイクロフロー合成で行うことによって、バッチ条件ではN,N-ジアルキル化体が主生成物として得られる0 ℃でN-モノアルキル化体を選択的に得ることに成功した。 さらに、含窒素中分子の高効率合成のための有用な中間体合成として、ヨウ化チタンを用いたγ-アルコキシ-α,β-アルキニルケトンとα-イミノエステルとのヨードMannich反応によるα-アミノエステル合成、およびベンゾニトリル誘導体の環化反応によるヨードイソキノリン合成の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活性化剤である塩化アルミニウムのジクロロメタンへの溶解度の不十分さを克服するために溶媒および調製する反応溶液の検討を行なった結果、塩化アルミニウムとアルキニルイミンを1,2-ジクロロエタンに溶かすことでフローシステムに用いることに成功し、良好な収率で多置換イミノシクロブテノンの合成に成功した。また、α-スルホキシイミノエステルに対し、Grignard 反応剤を用いたN-モノアキル化を検討した結果、バッチ条件では目的のN-モノアルキル化体を選択的に得るために-78 ℃で行う必要があったが、マイクロフロー合成で行うことによって、バッチ条件ではN,N-ジアルキル化体が主生成物として得られる0 ℃でN-モノアルキル化体を選択的に得ることに成功した。 さらに、含窒素中分子の高効率合成のための有用な中間体合成として、ヨウ化チタンを用いたγ-アルコキシ-α,β-アルキニルケトンとα-イミノエステルとのヨードMannich反応によるα-アミノエステル合成、およびベンゾニトリル誘導体の環化反応によるヨードイソキノリン合成の開発に成功した。また、ヨードイソキノリン合成を鍵反応に用い、抗がん剤CWJ-a-5を市販のo-トルニトリルから、最短の5ステップでの全合成を達成した このように目標とした含窒素中分子の高効率合成のためのマイクロフロー合成を利用した連続反応プロセスに、三重結合を有するアルキニルイミンおよびα-イミノエステルが有用な出発物質であることをそれぞれ明らかにすることに成功し、平成29年度は多段階フロー合成へ挑戦できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成28年度に得られた知見をもとに多段階フロー合成へ展開する。具体的には以下の計画による。 (1) 高脂血症治療薬Ezetimibeの全合成:Ezetimibe(商品名Zetia)は、従来のコレステロールの生合成を阻害するスタチン系薬剤とは異なり、小腸での食事由来あるいは胆汁性のコレステロール吸収を阻害する作用機序によって高コレステロール血症を改善する高脂血症治療薬である。そこで、本フローシステムの全合成への応用として、マイクロミキサーを用いたキラルなβ-ラクタム化合物合成法を鍵反応に用いるEzetimibeの効率的な全合成を検討する。 (2)ジアルキニルイミンへの1,4-1,6-二重求核付加反応の開発:ジアルキニルイミンを出発物質に用い、最初の共役付加反応により生じたアルキニル基を有するシクロブテノンへ、もう一分子の求核剤(Nu1)を連続的に作用させることによる、マイクロミキサーを用いたイミノシクロブテノンの合成を検討する。 (3)ジアルキニルイミンへの1,4-1,6-1,2-三重求核付加反応の開発:(2)で得られた実験結果を踏まえ、さらにマイクロミキサーを連結させた後、二番目の求核剤(Nu2)を連続的に作用させることによる1,4-1,6-1,2-三重求核付加体のアミノシクロブテノンの合成を検討する。 (4)α-アシロキシイミノエステルの N,N,C-トリアルキル化反応による四級炭素を有するα-アミノエステル合成法の開発:マイクロミキサーを連結させたフローシステムによる、各種Grignard反応剤を用いたα-アシロキシイミノエステルの N,N,C-トリアルキル化反応による四級炭素を有するα-アミノエステルの合成を検討する。 計画をさらに推進するために、各研究テーマに参加する大学院生の人数をさらに1名ずつ増員し、平成29年度で研究計画を達成する。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Synthesis of Iminocyclobutenone Using a Flow System2016
Author(s)
Kenta Nakamura, Mami Kawanishi, Iwao Hachiya, Makoto Shimizu
Organizer
The 10th International Symposium on Integrated Synthesis (ISONIS-10)
Place of Presentation
Awaji Yumebutai International Conference Center, Awaji, Japan
Year and Date
2016-11-18 – 2016-11-19
Int'l Joint Research
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