2016 Fiscal Year Annual Research Report
加水分解酵素との触媒集積化による生物機能分子の高効率不斉合成
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01151
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤井 周司 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (60192457)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 触媒集積化 / 加水分解酵素 / 動的光学分割 / 分子内付加環化反応 / 中分子化合物 / ポリヒドロキシビフェニル化合物 / キノリン |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の触媒を同時に用いて、複数の反応をワンポットで同時(または段階的に)進行させることができれば、反応工程の短縮(集積化)、操作や廃棄物の軽減だけでなく、単独の触媒では成しえなかった高次の変換が可能になる。申請者は最近、その成功例として、加水分解酵素リパーゼと固定化バナジウムV-MPSを同時に用いる動的光学分割法を開発した。また、申請者は光学分割と分子内環化が連続するドミノ型不斉合成法や、カテコール類のデオキシフルオロ化による含フッ素誘導体の合成法を開発した。本研究では、金属触媒と固定化リパーゼを併用する反応集積化をさらに発展させて、生物機能分子の短工程不斉合成法を開発する。特に「ドミノ型多環状分子不斉構築法」と「動的光学分割法」を低分子から中分子サイズの分子の不斉合成に拡張することを目的とし、本年度は以下の成果を得た。 1.加水分解酵素リパーゼと固定化バナジウムの触媒集積化による動的光学分割に、分子内付加環化反応を組み合わせて、多段階反応がone-potで連続進行する集積型反応を開発した。これをFDAで認可されたスロンビン受容体アンタゴニストvorapaxarの基本骨格の1段階不斉合成に応用した。 2.中分子化合物に対応可能な細孔径12 nmの新規触媒V-MPSを調製した。また、本品は、細孔が3-4nmのV-MPSよりも活性が高いことが分かった。今後、これを動的光学分割に応用する。 3.リパーゼと金属触媒を併用することで、様々な生物活性を示す天然物に含まれる軸性不斉ポリヒドロキシビフェニル化合物の全く新しい動的光学分割法を開発した。 4.我々が見出したデオキシフルオロ化法を、生物活性化合物に汎用されるキノリン骨格に応用し、2通りの位置制御フッ素化法を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を概ね達成した。なお、viridin (PI3キナーゼ阻害剤) の不斉全合成は現在進展中であり、引き続き検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
viridin (PI3キナーゼ阻害剤) の不斉全合成を完成し、生物活性化合物の不斉全合成を超効率化する集積化反応の実践力を検証する。 本新学術領域の他の班員の研究課題の化合物に酵素触媒動的光学分割法を適用し、共同研究を推進する。 軸性不斉化合物の動的光学分割並びに含フッ素誘導体の不斉合成をさらに進める。
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