2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of efficient synthetic method of super-carbon-chain compounds by reaction integration and analysis of biological function
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01159
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 徹 九州大学, 理学研究院, 教授 (90241520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 反応集積化 / 超炭素鎖化合物 / 生物機能解析 / フローマイクロ合成 / アンフィジノール |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,超炭素鎖化合物であるアンフィジノール3の人工短縮体モデル化合物の合成と生物活性評価,およびその重要な合成中間体である光学活性な(E)-1-ヨードヘキサ-1,5-ジエン-3-オールのフローマイクロ合成を検討した。 1.アンフィジノール3の人工短縮体モデル化合物の合成と生物活性評価 アンフィジノール3は,強力な抗真菌活性を有する超炭素鎖化合物である。抗真菌活性を示す最小構造単位を明らかにするための構造活性相関研究の一環として,C21-C39/C52-C67短縮体モデル化合物の設計・合成・生物活性評価を行った。ポリオール部分とテトラヒドロピラン環部を鈴木‐宮浦カップリングによって連結し,ポリエン部分をJulia-Kocienski反応を用いて導入した。 2.光学活性な(E)-1-ヨードヘキサ-1,5-ジエン-3-オールのフローマイクロ合成 光学活性な(1R)-および(1S)-(E)-1-ヨードヘキサ-1,5-ジエン-3-オールは、天然物合成における有用な中間体である。当研究室ではラセミ体の速度論的光学分割を経由する合成法を既に報告しているが,エステルの部分還元の再現性が低く,またアルデヒドが不安定で揮発性が高いため取り扱いが困難であることが問題であった。そこで,エステルおよびDIBALHの溶液をマイクロフローリアクターによって混合し,生じた反応溶液を臭化アリルマグネシウムの溶液に注ぎ込むことで,エステルから直接ラセミ体の(E)-1-ヨードヘキサ-1,5-ジエン-3-オールを合成することに成功し,これらの問題点を解決した。また,フロー条件でのリパーゼを用いた速度論的光学分割を行うことで,(1S)-(E)-1-ヨードヘキサ-1,5-ジエン-3-オールを95%eeで得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.抗真菌活性を示す最小構造単位を明らかにするために,アンフィジノール3のC21-C39/C52-C67部分に相当する人工短縮体モデル化合物の合成に成功した。生物活性を評価した結果,この化合物は抗真菌活性を示さないことが明らかとなった。構造活性相関に関する有用な情報を得ることができ,学術論文として公表できたため,研究はおおむね順調に進展している。 2.マイクロフローリアクターを用いることで,(E)-1-ヨードヘキサ-1,5-ジエン-3-オールの効率的な合成法の開発に成功した。さらに,フロー条件でのリパーゼを用いた速度論的光学分割を行うことで,光学活性な(E)-1-ヨードヘキサ-1,5-ジエン-3-オールの両鏡像体を高い光学純度で得ることに成功した。現在,この結果を学術論文としてまとめており,研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,収束的な合成戦略と反応集積化を利用したアンフィジノール3の合成研究を行う。 1.アンフィジノール3の全合成に向けたセグメントの合成 アンフィジノール3の全合成に向けて,C1-C29部分の合成,およびC31-C67部分の合成を検討する。C1-C29部分の合成は,クロスメタセシス反応,Julia-Kocienski反応,不斉還元,不斉クロチル化,不斉ジヒドロキシ化等を利用して合成する計画である。C31-C67部分は,アルデヒド/アルケニルリチウム-カップリング反応,Julia-Kocienski反応等を利用して合成する計画である。 2.鈴木‐宮浦カップリングによるセグメント連結法の検討 アンフィジノール3のような中分子を合成する場合,小分子の合成では全く問題の無い反応が進行しない場合がある。鈴木-宮浦カップリングによるセグメントの連結においても同様な問題点があり,中分子独特の反応性の違いに起因すると考えられる。フラスコで行う溶液反応において,小分子の場合は溶媒和によって均一に分散していると考えられるが,中分子の場合は分子同士の分子間相互作用が強いため,溶液中でもある程度の大きさのクラスターを形成したことで反応が進行しないと考えられる。これらの問題点を解決するために,フローマイクロ合成を利用する。すなわち,マイクロミキサーを用いることで,溶液中での中分子の脱クラスター化を促進するとともに,二成分を効率的に混合させることによって反応が効率的に進行すると期待される。
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