2016 Fiscal Year Annual Research Report
機能複合化による生体機能光制御中分子の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01161
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸嶋 一敦 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60217502)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アントラキノン / ヒドラジド / 還元糖 / 最終糖化生成物 / 光分解 / メイラード反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内における糖化反応(メイラード反応)は、D-グルコースなどの還元糖が高濃度に存在した場合、還元糖とタンパク質とが非酵素的に結合し、最終糖化生成物(AGEs)を与える反応である。近年、このAGEsの生成・蓄積が、認知症、癌、糖尿病合併症、及び動脈硬化症などに密接に関与していることが明らかにされてきており、AGEsの生成を効果的に阻害する新手法や新規阻害剤の開発が強く求められている。 そこで本研究では、高濃度の還元糖の存在が糖化反応の原因であることに着目し、還元糖に対して特異的に相互作用し、かつ特定波長の光照射下、還元糖のみを選択的に光分解することでAGEsの生成を抑制する新たな生体機能光制御分子のデザイン、合成、及び機能評価を行った。分子デザインに際し、還元糖が有する鎖状アルデヒドと特異的に結合可能な認識部位として、ヒドラジド基を選択した。また、糖光分解部位には、人体に無害な長波長紫外光の照射下、生体高分子を効果的に光分解することが当研究室で見出されたアントラキノン誘導体を選択し、これらを連結したアントラキノン―ヒドラジドハイブリッド1をデザイン、合成した。次に、1の長波長紫外光(365 nm, 100 W)の照射下における、各種糖に対する光分解活性を評価した。その結果、1が、非還元糖と比較して、還元糖を選択的かつ効果的に光分解することを初めて見出した。さらに、1が光照射下、還元糖を選択的かつ効果的に光分解しAGEsの生成を抑制する新たな生体機能光制御分子であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である、機能複合化分子により、目的とする糖類を光分解する新しい機能性分子が順調に創製されているため。また、結果として、予想以上の高機能を有する複合化分子が創製できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、本研究の目的である、機能複合化分子により、目的とするタンパク及び糖類を光分解する新しい機能性分子を創製する。今年度の結果より、特に、今後の研究の障害となる問題点はない。
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