2017 Fiscal Year Annual Research Report
機能複合化による生体機能光制御中分子の創製
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01161
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
戸嶋 一敦 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60217502)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アントラセン / ボロン酸 / レゾルフィン / 光分解 / 活性酸素 / がん細胞 / セラノスティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
セラノスティクスとは、治療と診断を複合化した新たな医療技術であり、個々の病態を反映するバイオマーカーを観察しながら治療の最適化を行えることから注目を集めている。一方、H2O2をはじめとする活性酸素種 (ROS) は、高い転移能を有するがん細胞に過剰発現するバイオマーカーであり、近年では、セラノスティクスを指向し、ROS応答性イメージング分子と抗がん剤を連結したハイブリッド分子の開発が精力的に行われている。しかし、既往の分子では、標的としたがん組織以外に内在するROSにも応答し、薬剤を放出してしまうため、薬効の低下及び副作用の誘発が解決すべき課題として残されている。 そこで本研究では、転移能が高いがん細胞に過剰発現する活性酸素種 (ROS) に応答して、蛍光分子を放出し、かつ特定波長の光照射下で細胞毒性を与えるセラノスティック分子のデザイン、合成、及び機能評価を行った。すなわち、①ROSの一種であるH2O2応答性のボロン酸部位、②OFF/ON蛍光プローブ(レゾルフィン)、及び③光感受性分子 (アントラセン)を連結した機能複合型中分子をデザイン、合成した。次に、H2O2を過剰発現しているマウスメラノーマ細胞B16F10を用いてハイブリッド分子の機能評価を行った。その結果、本ハイブリッド分子が正常細胞内では応答せず、B16F10細胞内のROSに応答して選択的に高い蛍光を発現することを見出した。さらに、本分子をB16F10細胞に投与後、人体に無害な長波長紫外光を照射した結果、光照射依存的に顕著な細胞毒性を発現することを見出した。以上の結果より、デザイン・合成した本分子がH2O2を過剰発現する生細胞のイメージングを可能にし、かつ光照射選択的に細胞毒性を発現する新たな機能複合型の生体機能光制御中分子であることを明らかにした。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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