2016 Fiscal Year Annual Research Report
Creation of polyphenolic compounds mortified of ellagitannin middle molecule
Publicly Offered Research
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
16H01163
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山田 英俊 関西学院大学, 理工学部, 教授 (90200732)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 合成化学 / 中分子 / エラジタンニン |
Outline of Annual Research Achievements |
エラジタンニン類は千を超える天然物を擁するポリフェノール化合物群である。実用を期待できる生物活性を有する中分子領域の化合物も多い。本新学術領域研究では、エラジタンニン中分子をモチーフとした新規ポリフェノール系包接化合物を、化学合成を用いて創出することを目的としている。 中分子領域のエラジタンニンには、2量体以上の化合物が多く、目的の達成にはその多量化を担う構成基の構築法確立が必要である。また、ガロイル基が3個C-C結合したNHTP基には、そのフェノール性ヒドロキシ基の集合状態から、包接作用を示す化合物への展開が期待できる。 当年度は、天然エラジタンニンの重要な構成基である(1)GOD基と(2)NHTP基の合成方法を検討した。どちらの基も、六置換ベンゼンを含むエラジタンニンの構成基で、その合成には立体障害の多い位置でベンゼン環をつなげる、難しい変換を含む。 (1)GOD基の合成研究:エラジタンニンの多量化を担う構成基、GOD基の合成経路を確立した。その合成では立体障害の多い六置換ベンゼンを構築する段階が鍵段階となる。合成では、C-Oジガラート構造をまず構築し、次いで六置換ベンゼン部分を構築した。 (2)NHTP基の合成研究:ガロイル基が3個炭素―炭素結合したNHTP基を含む天然物vescalaginを標的に合成研究を進めたが、途上である。NHTP基は、自然界ではグルコースの2,3,5位酸素にエステル結合して存在するため、合成法検討にはグルコースの2,3,5位酸素にガロイル基を結合させ、そのカップリングを検討した。グルコースの2,3位上のガロイル基のカップリング反応は問題なく進行した。このカップリング後、グルコースの5位に保護基の数と位置を様々に変えたガロイル基を導入し、その酸化感受性の差異を利用した二度目のカップリングの検討を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、天然エラジタンニンの重要な構成基である(1)GOD基と(2)NHTP基の合成方法の確立を予定していた。進捗状況は、(1)を達成したが、(2)は、予定までもう一歩まで研究を進めたが、途上である。一方、当初予期していなかった成果として、(3)保護基の導入に用いるベンジルイミダートの高純度合成法を発見した。 (1)GOD基の合成研究:GOD基の合成方法を確立した。本合成では、C-Oジガラート合成のビルディングブロックとして、既に報告したオルトキノン化合物の保護基を変更して用いた。幸いにも、この保護基変更はフェノールによるオキサマイケル付加・脱離を許容し、続く還元的芳香環化を経て五置換ベンゼンを有するC-Oジガラート化合物を与えた。GOD基は軸不斉を有するため、sp3中心不斉からの転写を期待して、六置換ベンゼン部分の構築段階には、グルコースから誘導したテンプレートを用いた。すなわち、五置換ベンゼンを有するC-Oジガラート化合物の保護基と酸化段階の変換を経て、その部分構造をグルコースの6位酸素にエステル化した。一方で、GOD基の構成部分であるガロイル基をグルコースの4位酸素にエステル化した。鍵段階となる六置換ベンゼン部分は、CuCl2とn-BuNH2を用いた酸化的フェノールカップリングにより構築した。 (2)NHTP基の合成研究:NHTP基は、自然界では殆どがグルコースの2,3,5位酸素にエステル結合して存在するため、合成法検討にはグルコースから誘導した化合物をテンプレートとし、それにガロイル基を導入した化合物を用い、現在も合成方法を検討中である。 (3)当初予期していなかった成果として、保護基の導入に用いるベンジルイミダートの高純度合成法を発見した。本法では、反応後の分液操作のみで、高純度のイミダート化合物を着色無しで得ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、申請者が本研究を統括し、連携研究者及び研究協力者(助教、博士研究員および大学院生)と共に行う。 平成29年度には、エラジタンニン構造をモチーフとした環状化合物の合成と包接現象について研究する。本化合物は天然エラジタンニンの主要構成基で組み立てられるが、新規ポリフェノール系化合物である。合成には、まず最も直截な、ポリフェノールを効率よく環状オリゴマーとする方法を検討する。その一方で、単量体を二、三量体と順次伸長し、最後に大員環化を行う段階的な合成も検討する。すなわち、最も直截な合成経路では、エラジタンニン単量体の合成中間体を多量体合成に適切な官能基を有するように合成し、グリコシルエステル化の手法を用いて一気に多量化する。この方法では、様々な長さのオリゴマーと共に環状体の生成が期待できる。生じた混合物からGPC等を用いて環状オリゴエラジタンニン構造を有する化合物を単離する。環状体が生じない場合は、多量体合成に適切な官能基を有するように調整したエラジタンニン単量体の合成中間体をグリコシルエステル化させ、まず二量体とし、適切な位置の保護基を除去して対応するカルボン酸へと変換する。続いて、二量体と単量体を結合させ三量体とする。最後にSEt基を活性化させ分子内グリコシルエステル化し環状体を得る。 目的の化合物を得た後は、種々の抗癌剤との包接能を調査する。包接作用が認められた場合は、β-グルコシダーゼによる包接体のグリコシルエステル部分の切断を検討し、DDSカプセルとしての機能を調査する。研究が計画どおりに進まない時は、前年度に合成法を確立したGOD基やNHTP基を有する天然エラジタンニン中分子を全合成する。全合成のため大量に必要になる原料は、フロー合成を用いた方法で効果的に合成する。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] Total synthesis of mallotusinin A2016
Author(s)
Kohei Yamashita, Yuji Kume, Ashibe Seiya, Cicilia A. D. Puspita, Kotaro Tanigawa, Kazutada Ikeuchi, Hidetoshi Yamada
Organizer
The XXVIIIth International Conference on Polyphenols
Place of Presentation
Faculty of Chemistry, Technische University, Wien, Austria
Year and Date
2016-07-11 – 2016-07-15
Int'l Joint Research
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