2016 Fiscal Year Annual Research Report
大規模運動論的シミュレーションで解き明かす内部磁気圏の物理素過程
Publicly Offered Research
Project Area | Solar-Terrestrial Environment Prediction as Science and Social Infrastructure |
Project/Area Number |
16H01170
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 孝伸 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00514853)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 磁気圏 / リングカレント / 波動 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球の内部磁気圏領域は平均的には双極子磁場の支配的な低ベータ領域であるが,磁気嵐時などにはプラズマシートからのプラズマ供給によって,リングカレント粒子のプラズマ圧が磁気圧と同程度になることが分かっており,このような場合のプラズマダイナミクスを調べるのが本研究の大きな目的である.特に,内部磁気圏領域での低周波MHD波動(ULF波動)の起源として考えられてきたプラズマ不安定性の理解を目指し,背景プラズマをMHD,リングカレント粒子のみを運動論的に扱い,両者を結合させた数値シミュレーションモデルの開発を行った.
今年度は既存の数値シミュレーションコードを用いて,内部磁気圏を模擬したモデルの構築を行った.具体的には初期条件としては非一様なプラズマ圧や背景のポテンシャル磁場を考え,平衡条件を満たすようにポテンシャル磁場から変形した磁場形状を数値的に求めた.さらに境界条件は反射境界を考え,数値的にも長時間積分に耐え得るモデルの構築に成功した.
一方で,シミュレーション結果からは未だ不安定性励起は再現出来ていないが,この理由として数値的なノイズや散逸の効果が考えられる.そこで,一様系のシミュレーションによってパラメーターサーベイを行い,コードに内在する数値的効果の見積を行った.これにより,数値的散逸の効果が悪影響を及ぼしている可能性が示唆される結果が得られたため,この問題を解決するためにシミュレーションコードの改善を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデルの構築という点においては概ね当初計画通りであると言える.これまで不安定性の再現が出来ていないが,これは十分に想定されていた.この問題を解決するにあたって数値シミュレーションコードの改善を継続中である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は背景のポテンシャル磁場モデルを変更し,相対的な解像度向上を図る.これは比較的一様系に近いモデルであり,従って一様系で既に再現されている不安定性との比較・議論に好適である.このモデルを用いてプラズマベータや,ピッチ角異方性などリングカレント粒子のパラメータに対する依存性を調査する.また数値的資源に余裕があれば,リングカレントの典型的なジャイロ半径とシステムサイズの比に対する依存性についても調査する.
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Research Products
(9 results)