2016 Fiscal Year Annual Research Report
適合格子細分化法を用いた太陽圏磁場の動的モデルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Solar-Terrestrial Environment Prediction as Science and Social Infrastructure |
Project/Area Number |
16H01182
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
松本 倫明 法政大学, 人間環境学部, 教授 (60308004)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 太陽圏 / 太陽風 / 太陽圏電流シート / 高回転相互作用領域 / MHD / 磁気流体力学 / AMR / 適合格子細分化法 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽圏の環境の変化は、地球へ伝播する銀河宇宙線を変調させるなど、地球環境への影響が指摘されている。銀河宇宙線の変調では、太陽圏における太陽圏電流シートと共回転相互作用領域が重要な役割を果たすと考えられる。従来の一様格子を用いた数値シミュレーションでは、十分な空間分解能が得られないために太陽圏電流シートと共回転相互作用領域の影響の解析は限定的であった。そこで本研究は、高い空間分解能を持つMHDシミュレーションにもとづいて太陽圏の数値モデルを構築している。高い分解能を達成するために適合格子細分化法(AMR法)を採用した。 本年度の主な成果は次の2点である。第1に、適切な格子の細分化条件を発見し、太陽圏の外側や内側の太陽圏電流シートと共回転相互作用領域において高い空間分解能を達成した。格子の細分化条件では、太陽からの距離に応じた条件(太陽に近いほど細かい格子)と、太陽圏電流シートを細かい格子で覆うという条件を採用した。太陽圏電流シートを細い格子で覆うと、それに付随する共回転相互作用領域も細い格子で覆われる。第2に、非定常な太陽風モデルを実装した。これまでは時間的に一定の太陽風を太陽の自転に合わせて回転させる定常な太陽風モデルであった。本年度は、時間的に変動する太陽風モデルを実装した。この太陽風モデルも従来と同様に太陽磁場の観測にもとづいて太陽風を再現している。 また上記2点以外にも、スキームの改良を行った。HLLDマイナススキームを実装しカーバンクル不安定に対応した。またDedner の磁場発散消去法のパラメータを最適化した。以上の太陽圏モデル1000コア程度を用いた大規模な数値シミュレーションを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
適合格子細分化法の中心的な課題である格子の細分化条件を煮詰めることができた。また当初は太陽圏電流シートを細分化法することが目的であったが、太陽圏電流シートに付随する共回転相互作用領域も同様に細分化法領域に収まることがわかった。これにより銀河宇宙線の変調への応用において、宇宙線の伝播の計算精度が向上すると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
まず共回相互作用領域の解析を行い、適合格子細分化法を数値モデルに用いることの効果を検証する。また過去の磁気嵐を事例に、本研究のモデルがどの程度精度よく太陽圏環境を再現できたかについて調べる。さらに太陽圏の外側のヘリオシースとヘリオポーズのモデル化についても検討する。
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