2016 Fiscal Year Annual Research Report
太陽フレア多波長スペクトルモデルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Solar-Terrestrial Environment Prediction as Science and Social Infrastructure |
Project/Area Number |
16H01187
|
Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
渡邉 恭子 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 講師 (10509813)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 太陽物理学 / 太陽フレア放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、太陽フレア多波長観測データの収集・解析を行った。まず、ひので衛星が観測した太陽フレアのカタログ(ひのでフレアカタログ:Watanabe et al., 2012)に掲載されている、ひので衛星観測期間に発生したすべての太陽フレアについて、その軟X線強度とフレアの位置、フレアの継続時間の情報に、アメリカ海洋大気庁でデータベース化されている活動領域の種類と大きさの情報を追加し、太陽フレアの基本パラメータとして定義した。次に、デリンジャー現象に一番効くと言われている紫外線データを中心に、太陽フレアの多波長データについて、その強度とその他の物理量の関係を調べた。 これまでの研究により、フレア紫外線のピーク強度とGOES衛星で観測されている軟X線強度とは比例関係にあるが、紫外線強度がピークに至る時間は紫外線放射を出しているイオンの温度によっており、高温の放射の方が早くピークに達することが分かった。また、太陽フレアの軟X線の継続時間とその強度との割合(エネルギー注入率)が、その他の放射強度を強く支配していることが分かった。一方、太陽フレアを発生する活動領域の面積自体と実際に発生したフレアの規模との間には明確な比例関係は見られず、活動領域の種類との関係も見られなかった。これらの解析結果については、随時、学会などで発表を行った。 今後、今田らがこれまでに開発してきた1次元流体数値シミュレーション及び輻射計算コードを用いて、太陽フレア時にデリンジャー現象を引き起こす元となる紫外線のスペクトル再現実験を行うため、現在、この流体シミュレーション行う上で必要な情報である、フレアループの長さ、フレアによるエネルギー解放率、フレアの継続時間の3つのパラメータを観測データより抽出中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度行う予定であった太陽フレア多波長観測データの収集・解析は順調に進めることができた。ひので衛星が観測を始めた2006年以降の観測データについてデータ収集・解析を行ったが、SDO/EVEでフレアが観測されており・解析可能であったフレアイベントが86例、硬X線のデータについて解析が行えたイベントが100例以上、また活動領域の大きさや種類について解析が行えたイベントが5578例と、統計研究には十分な数のイベントが得られており、順調に統計解析を進めることができた。 また今後、数値計算とこの観測結果を比べて行くことになるが、計算コードは今すぐにでも使用できる状況にあり、また比較対象の観測結果から構築されたフレアモデルはほぼ出来上がっている。このため、進捗状況は「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、太陽フレア基本パラメータとその他の多波長観測データの放射強度との関係性をモデル化する。どのパラメータがどの放射にどの程度影響しているかを、数値化して把握する。このモデルは、数値計算を行った時の答えとなる。フレアループの長さ、フレアによるエネルギー解放率、フレアの継続時間の3つのパラメータについても観測統計解析結果よりモデル化し、今田らがこれまでに開発してきた1次元流体数値シミュレーション及び輻射計算コードへの入力値として用いる。観測モデルを説明できる数値計算結果を得ることによって、太陽フレア放射モデルを構築する。
|
-
-
-
[Journal Article] Simultaneous Observation of Solar Neutrons from the ISS and High Mountain Observatories in association with a flare on July 8, 20142016
Author(s)
Y. Muraki, D. Lopez, K. Koga, F. Kakimoto, T. Goka, L. X. Gonzalez, S. Masuda, Y. Matsubara, H. Matsumoto, P. Miranda, O. Okudaira, T. Obara, J. Salinas, T. Sako, S. Shibata, R. Ticona, Y. Tsunesada, J.F. Valdes-Galicia, K. Watanabe, T. Yamamoto
-
Journal Title
Solar Physics
Volume: 291
Pages: 1241-1265
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] Observation of Cosmic Ray Hadrons at the top of the Sierra Negra volcano in Mexico with the SciCRT prototype2016
Author(s)
E. Ortiz, J.F. Valdes-Galicia, Y. Matsubara, Y. Nagai, A. Hurtado, O. Musalem, R. Garcia, M. A. Anzorena, L. X. Gonzalez, Y. Itow, T. Sako, D. Lopez, Y. Sasai, K. Munakata, C. Kato, M. Kozai, S. Shibata, H. Takamaru, H. Kojima, K. Watanabe, H. Tsuchiya, T. Koi
-
Journal Title
Advances in Space Research
Volume: 58
Pages: 2018-2025
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-