2016 Fiscal Year Annual Research Report
選択的オートファジーにおける新規アダプター分子の検索
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary research on autophagy: from molecular mechanisms to disease states |
Project/Area Number |
16H01188
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
森田 英嗣 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (70344653)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 選択的オートファジー / アダプター分子 / p62 / LC3 / LIR |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内に侵入した病原体に対する選択的オートファジーには標的を識別する機構があり、その破綻は感染症を始め様々な疾患発症と深く結びついている。この認識機構は、標的物のユビキチンとオートファゴソーム上のATG因子:LC3に結合するアダプター分子よって説明されている。アダプター分子群は自身がもつLIR (LC3 Interacting Region: W/Y/FxxL/I/V consensus)を介してLC3と結合し、標的ユビキチンとLC3を橋渡しする因子群として現在までにp62など複数同定されている。近年、損傷ミトコンドリアを選択的に分解するオートファジー(マイトファジー)に関与しているアダプター因子は、これまで言われていたp62ではなくNDP-52とOPTNの2種類が相補的に機能していることが報告され、選択的オートファジーは複数のアダプターによって制御されていることが明らかになった。 本研究ではLC3AのK49をアラニンに置換したLIR高親和性変異体LC3A-K49Aと、K51をアラニンに置換したLIR低親和性変異体LC3A-K51Aの二つの変異体を用い、高親和性変異体により強く結合するLC3結合因子群を、比較定量プロテオミクスによって同定した。この解析によって、p62よりも高いスコアにて、高親和性LC3変異体に強く結合し、且つ、ユビキチンに結合する性質を持つ新規LIR因子群(LIRP1-10)見出した。そのうちLIRP8が、セファロースビーズを用いたゼノファジーにおいて、LC3と共に隔離膜に特異的にリクルートされることを明らかにした。また、LLOMe添加により誘導されるリソファジー、もしくは鉄のキレート剤であるdesferoxamine添加により誘導されるマイトファジーにおいてもLC3と共に隔離膜に特異的にリクルートされることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、10種類のLIRP因子群の遺伝子をクローニングし、それらを各細胞に発現させ、種々の選択的オートファゴソーム形成において、隔離膜にリクルートされるかどうか調べたところ、LIRP8がセファロースビーズを用いたゼノファジーまたは、LLOMe添加により誘導されるリソファジー、もしくは鉄のキレート剤であるdesferoxamine添加により誘導されるマイトファジーにおいてLC3と共に隔離膜に特異的にリクルートされることを明らかにした。LIRP8には4箇所のLIR配列が存在しておりどのLIR配列が機能しているか調べた。N末端側に位置する1つのLIR配列を欠損させるとLIRP8はLC3と結合しなくなることから、4箇所のうち1箇所のLIR配列がLC3との結合に重要な役割を担っていることが示された。また、このLIR欠損変異体の局在を調べたところ、この変異体は各種選択的オートファゴソームへの局在が失われることを明らかにした。この結果は、LIRによるLC3との結合がLIRP8の選択的オートファゴソームでの機能に必須であることを示している。さらに、ATG5欠損細胞にてLIRP8の挙動について調べたところ、ATG5欠損細胞においても野生型細胞と同様に選択的オートファゴソームに局在が見られたことから、LIRP8はLC3-II形成過程よりも上流にて作用している可能性が示された。また、他のアダプター因子であるp62と共局在することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、CRISPR/CAS9システムを利用してLIRP8ノックアウト293細胞又はMCF7細胞を樹立し、LIRPの病原体オートファジーのアダプター分子としての重要性を明らかにする。ノックアウト細胞にGAS、サルモネラ、クラミジア、HIV、シンドビスウイルスを感染させ、経時毎に病原体数をカウントし各種病原体の増殖能を測定する。野生型細胞を用いた場合と比べて病原体の増殖能が高い場合は、選択的オートファジーのアダプター分子として重要な機能を担っている可能性が高い。また、これらのノックアウト細胞を用いて、感染した病原体にLC3がリクルートされるかどうかを蛍光顕微鏡観察にて調べる。また飢餓条件下で形成されるLC3の輝点をカウントすることで、飢餓誘導オートファジーにおける役割も調べ、LIRP8のオートファゴソーム形成における機能の特異性を明らかにする。さらに、既知のアダプター分子を含め全てのアダプター因子を対象に、LC3以外のATG蛋白質との相互作用を検索する。また、各種ATG欠損マウスより樹立したノックアウト細胞を用いて、LIRP8が、細胞内へ感染した病原体へリクルートされるかどうか調べる。次に、LIRP8のノックアウト細胞を用い、病原体に各種コアATG因子がリクルートされるかどうか調べる。さらに、電子顕微鏡を用いて、病原体がオートファゴソーム様脂質二重膜によって囲まれるか調べる。各種ノックアウト細胞を用いた場合にそれぞれの異常が確認された場合は、物理的な相互作用の有無を酵母2ハイブリッド法や免疫沈降法にて確認する。この解析によって、どのようにアダプター因子群が選択的オートファジーにおける標的認識と二重膜の形成に関与しているのか分子機構を明らかにする。
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[Journal Article] Unique Requirement for ESCRT Factors in Flavivirus Particle Formation on the Endoplasmic Reticulum2016
Author(s)
Keisuke Tabata, Masaru Arimoto, Masashi Arakawa, Atsuki Nara, Kazunobu Saito, Hiroko Omori, Arisa Arai, Tomohiro Ishikawa, Eiji Konishi, Ryosuke Suzuki, Yoshiharu Matsuura, Eiji Morita
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 16
Pages: 2339-2347
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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