2016 Fiscal Year Annual Research Report
父性オルガネラオートファジーの選択性を制御する新規アダプターの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary research on autophagy: from molecular mechanisms to disease states |
Project/Area Number |
16H01191
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 美由紀 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (70321768)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オートファジー / 線虫 / 父性ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは,線虫受精卵において精子から持ち込まれた父性オルガネラを基質とする新たな選択的オートファジー経路を発見し,allophagyと命名した.さらにそこに関わる新規オートファジーアダプターの候補ALLO-1と関連キナーゼを見出し,解析を行ってきた.本年度はALLO-1と関連キナーゼの物理的相互作用を酵母ツーハイブッリド法や線虫受精卵における免疫沈降法により確認した.また,免疫沈降産物の質量分析も行い,これら二つの因子の強い相互作用が検出されたことから,ALLO-1と関連キナーゼは安定な複合体を形成していることが示唆された.関連キナーゼの変異体の表現型解析を行った結果,allo-1変異体と類似の表現型を示したことから,ALLO-1と関連キナーゼは同じ経路で機能していると考えられた.一方,父性オルガネラの認識機構についても解析を行った.選択的オートファジー経路では基質のユビキチン化が認識シグナルとなっているケースが報告されている.ALLO-1には既知のユビキチン認識モチーフは存在しないが,人為的にユビキチン化された構造を誘導するとその部位にALLO-1が局在化することが判明した.また,ユビキチン化された構造はALLO-1依存的にオートファジーによって分解されることも明らかとなった.これらの結果から,allophagyにおいてもALLO-1が基質上のユビキチン化を認識することによって局在化し,それにより基質の周囲に局所的なオートファジーが誘導されるというモデルが考えられた.さらにALLO-1と相互作用する因子の同定を目的に,酵母ツーハイブッリド法(一次スクリーニング)とノックダウンによる表現型解析(二次スクリーニング)を行った.しかし,今回のスクリーニングではallophagyへ影響を与える因子の同定には至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ALLO-1と関連キナーゼの物理的相互作用の解析や一連の表現型解析が終了し,これら二つの因子が選択的オートファジーの初期ステップで協働して機能する因子であることを証明できた.また,ALLO-1の局在化にユビキチンが関与していることを新たに見出し,基質認識機能を解明するための重要な手がかりを得た.
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Strategy for Future Research Activity |
ALLO-1による基質認識機構の詳細を明らかにするため,ALLO-1とユビキチンの直接の相互作用を検討する.さらに,引き続きALLO-1と相互作用する因子の同定を目指す.酵母ツーハイブッリド法のスクリーニング規模を大きくするとともに,質量分析による結合タンパク質の同定も行う.また,関連キナーゼのリン酸化基質の同定も試みる.野生型とキナーゼ変異体の受精卵を用い,質量分析によるリン酸化ペプチドの大規模定量プロテオミクスを行う予定である.これら解析で同定された因子についてはノックダウンによる表現型解析を行い,候補因子を絞り込む.
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