2016 Fiscal Year Annual Research Report
Autophagic failure of smooth muscle cells
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary research on autophagy: from molecular mechanisms to disease states |
Project/Area Number |
16H01205
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
綿田 裕孝 順天堂大学, 医学部, 教授 (60343480)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | オートファジー / 平滑筋細胞 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまで、SM22αCreマウスとATG7f/fマウスを交配させることにより、平滑筋特異的Atg7欠損マウスを作成し、そのマウスと、動脈硬化のモデルマウスであるApoE欠損マウスとを交配することにより、平滑筋特異的ATG7欠損・ApoE欠損マウス(以下ATG7ApoEKO)を作製した。このマウスとコントロールApoE欠損マウス(以下ApoEKO)を比較することで、動脈硬化の進展過程における血管平滑筋細胞のオートファジーの役割を検討してきた。その結果、ATG7ApoEKO由来の平滑筋細胞では、酸化ストレス誘導性の細胞死が増加すること、および、動脈硬化層の拡大とともに、動脈瘤の形成、動脈解離が認められ、死亡率が増加することが明らかとした。また、動脈硬化巣の組織像がヒトのそれに極めて類似していることを明らかにした 既報では、ATG7KO平滑筋細胞ではApoptosisが抑制され、Senescenceの亢進が認められることが報告されている。本検討ではApoptosisに関しては、全く異なる結果であるが、Senescenceの亢進に関しては再現性が認められたため、おそらくヒトの動脈硬化組織像との類似性はautophagy不全が平滑筋に老化で認められる現象と同様な現象を引き起こすことにより認められた現象である可能性があると考えられた。 これまで、動脈瘤に関しては、アンギオテンシンII (AngII)の持続投与以外の手法でマウスにおいて動脈瘤、および動脈解離が認められたモデルマウスはないため、平成28年度は、本来であれば、これらの実験結果をもとにメカニズムの検討及び、本モデルにAngII持続投与することで、動脈瘤解離の進展が認められるか否か等の検討をしようとしたが、これまでの結果を論文投稿したところ、追加実験を余儀なくされ、それに時間がかかり、計画した検討が思う通り進められなかった(Autophagy in revise)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述した通り、論文提出し、査読者の指摘に応える実験追加を余儀なくされ、計画通りに新規実験が進まなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度早期に、論文再投稿の予定でありそれに伴い、計画した以下の実験を優先して検討を進める予定としている。 ATG7ApoEKOでは動脈硬化の進展と一部大動脈瘤の形成が認められた。現在、動脈瘤の進展機序は十分解明されておらず、また、有効な薬物療法は、確立されていない。そのような中、これまでで唯一ヒトの動脈瘤形成に近いモデルが、AngII誘導性大動脈瘤モデルである。そこでこのモデルに平滑筋細胞のオートファジーが関与している可能性を考え、GFP-LC3Tgマウスに浸透圧ポンプを用い、皮下よりAngII 1,000ng/kg/minを4週間持続投与する。試験中、体重測定や血圧測定などを行ったのち、大動脈の起始部から総腸骨動脈分岐部までの全動脈を抽出し、血管平滑筋細胞のオートファジー状態を観察する。もしも、大動脈瘤形成とオートファジーとの相関が認められた場合には、AngII誘導性大動脈瘤モデルにmTOR阻害薬であるrapamycinを投与し、オートファジーを誘導させた場合に、動脈瘤の発症を抑制できるかを検討する。既報ではラットの平滑筋細胞においてAngIIによりオートファジーが誘導されることが示されているが(Yu, KY et al. Basic research Cardiology 2014)、In vivo において、AngII負荷により、オートファジー不全が認められる可能性もあると考えている。その場合には、培養平滑筋細胞を用いてAngIIがオートファジーフラックスや、長寿命タンパクのタンパク分解に及ぼす効果に関して検討を行う。
|