2016 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞間コミュニケーションの解明にむけた受容体ライブラリーの応用
Publicly Offered Research
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
16H01234
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
篠原 秀文 名古屋大学, 生命農学研究科, 研究員 (40547022)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物 / ペプチドホルモン / 受容体キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
①カスパリー線形成を制御するペプチドホルモンとその受容体の同定 硫酸化ペプチドAt2g16385およびAt4g34600が,受容体キナーゼGSO1/SGN3およびGSO2に直接結合することを見いだした.ペプチド2重欠損株はカスパリー線が不連続になり,外環境からのイオン流入に異常を示した.これらの異常はペプチドの投与によって回復したことから,カスパリー線の正常な形成を担うペプチドホルモン-受容体のペアの機能を明らかにした.このペプチドホルモンをCIF(Casparian strip integrity factor)と名付け,以上の成果を論文として公表した. ②ゲノム配列を利用した多機能性人工ペプチドホルモンの創出 CLEペプチド群のアミノ酸配列を改変することで,CLV3およびTDIF双方の活性を有するペプチドを見いだした.改変ペプチドはCLV1およびTDR双方の受容体に直接結合し,生体内で厳密に決められている受容体へのアフィニティーがアミノ酸改変により人工的に調節できることが示された.以上の成果を論文として公表した. ③ゼニゴケにおけるペプチドホルモン候補の解析 ゼニゴケ無性芽培養液の解析から複数のペプチドシグナル候補を同定した.同定されたペプチド遺伝子の分泌型シグナル配列の位置から,ゼニゴケデータベースで開示されている開始コドンの位置に違いがある可能性が示唆された.またペプチド遺伝子の過剰発現株およびペプチド投与実験により形態変化を確認し,未知のペプチドシグナルとして機能する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①受容体ライブラリーを用いて,機能未知ペプチドシグナルCIFを直接結合する受容体キナーゼGSO1/SGN3およびGSO2を同定し,CIFペプチドがカスパリー線の正常な形成を担うペプチドホルモンであることを明らかにし,論文として公表した. ②ゼニゴケにおける新規ペプチドホルモンの候補を複数同定し,基部陸上植物であるゼニゴケにおけるペプチドホルモンと受容体を介した細胞間情報伝達系の存在を示唆した.
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Strategy for Future Research Activity |
・引き続きシロイヌナズナ受容体ライブラリーを用いたペプチドホルモン-受容体の結合解析を行う. ・ケミカルスクリーニングによるRGF情報伝達系下流因子の探索を継続する. ・ゼニゴケペプチド候補遺伝子の機能解析を進める.また作製中であるゼニゴケ受容体ライブラリーを用いて,ペプチドホルモン候補の受容体探索を行う.
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