2016 Fiscal Year Annual Research Report
数と対称性の発生進化ロジック:花器官配置の数理解析
Publicly Offered Research
Project Area | Multidimensional Exploration of Logics of Plant Development |
Project/Area Number |
16H01241
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 仰一 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60334306)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 花器官 / キンポウゲ科 / 数理モデル / 確率性 / 対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
花器官の正確性と確率性: 同種集団内に置ける花びらの数のばらつきの野外調査(花被片など;キンポウゲ科Ranunculus属3種, Anemone属5種, Eranthis属1種, Ficaria属1種。舌状花;キク科3種)において、数の平均値と標準偏差に注目した統計解析を進めた。属あるいは器官特異的な3つのタイプを発見した。 その中で、1枚余分に花被片をつけて5数性から6枚性となった花について花被片同士の重なり配置を調べた結果、単子葉類に多い3数性の輪生配置が優先的に現れることを見出した(Anemone属)。5数性から3数性へ遷移する条件として、原基のらせん的配置と原基出現抑制の時間的減弱を数理モデルから予測した。 花被片がさらに多い花(7枚以上)あるいは少ない花(4枚以下)についても花被片の配置を調べた結果、限定した配置(らせんか輪生)のみが現れやすいことを見出した。興味深いことに、これらの配置の多くはらせん配置の数理モデルから統一的に再現できることがわかりつつある。花被片の数のばらつきに応じて、らせん配置から様々な数の輪生配置を生み出す仕組みが示唆された。 対称性: 上記モデルへ背腹軸方向の原基出現抑制を導入することで、キク類オオバコ科キンギョソウの野生型(5数性)やCYCLOIDEA変異体(6数性)および近縁種(4数性)について、花被片の原基配置に加えて原基出現順序を統一的に再現できた。これらの調節ロジックとして、花の背側および腹側からの原基出現抑制シグナルの強度のバランスあるいはメリステムサイズを予測した。同時に、キク類とは異なる配置を示すバラ類マメ科(5数性)やアブラナ科(4数性)、単子葉類(3数性、2数性)の調節ロジックも予測できた。 領域内共同研究:分裂組織のイメージングデータに基づき、細胞と組織(根端や維管束木部)の形状の定量数理モデルの構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
花器官の数に関しては、論文を2報出版し、それに続く実験的および数理的知見も得つつある。器官配置の対称性については、被子植物の幅広い系統にわたる多様な器官配置を一つのモデルで再現しつつある。 領域内の班員との共同研究は、お互いのデータを頻繁に交換する形で進めることができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度までに野外調査で見いだした花被片配置の確率性をまとめて今年度中頃に論文を一報投稿する。この確率性が、被子植物に見られる3数性、4数性、5数性、8数性のそれぞれの輪生配置が選択的かつロバストに生み出される進化発生ロジックを数理モデルで探索する。さらに、この確率性が被子植物の進化においてどの程度広く現れるのかを検証するために他の系統で野外調査を行う。器官配置の対称性、及び、分裂組織の形態形成(領域内共同研究)については、モデルの修正点も明らかになり、最終年度にはモデルを確定できると考えられる。
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