2016 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニック技術を用いたニワトリ始原生殖細胞形成機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Mechanisms regulating gamete formation in animals |
Project/Area Number |
16H01253
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西島 謙一 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10262891)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニワトリ / 始原生殖細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリ生殖系列細胞への分化に関する研究は遅れており、始原生殖細胞分化のマスターレギュレーターと生殖細胞分化過程の詳細な解析が必要である。マウスおける始原生殖細胞分化のマスターレギュレーターとされるPrdm14に着目した。ニワトリPrdm14は胚発生初期の始原生殖細胞で特異的に高発現していた。生殖腺に定着した後の発現レベルは、血中循環期の2.5日胚の発現レベルの数分の一程度であった。放卵直後の胚である胚盤葉細胞のin vitro培養系でPrdm14を過剰発現させると、生殖細胞のマーカーとされるCvhやDazlの発現が高くなることが認められた。このことから、Prdm14が生殖細胞系列の分化に重要であることが示唆された。次に、マウスを免疫して抗Prdm14抗体を作製した。この抗体を用いてクロマチン免疫沈降法を行ったところ、CvhプロモーターにPrdm14が結合していることが示された。また、ルシフェラーゼをレポーターとして用いたプロモーター活性の測定では、転写促進活性にはPRDM14のジンクフィンガードメインが重要であることが示された。ラウス肉腫ウイルスベースのウイルスベクターを用いて、in vivoでノックダウンを試みたところ、Prdm14ノックダウンにより生殖巣内に定着する始原生殖細胞の数が有意に減少することが確認された。 また、選択的にPrdm14をノックダウンできるニワトリを作製するために、リコンビナーゼ遺伝子を導入したキメラニワトリを作製し成熟個体の交配を進めた。現在までのところトランスジェニック子孫は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分化メカニズムの解析は順調であり、特に培養始原生殖細胞を用いた解析系が使用可能となったことから計画より効率よく進行しはじめている。一方、現在までのところトランスジェニックニワトリ作製に成功していない。これらから全体として大きな遅れはないものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスジェニックニワトリの作製をめざしたスクリーニングを継続する。また、始原生殖細胞分化におけるPrdm14の機能解析を培養始原生殖細胞を用いて進める。
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