2016 Fiscal Year Annual Research Report
脳内エピジェネティクス変化による運動パターン学習と維持メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Principles of memory dynamism elucidated from a diversity of learning systems |
Project/Area Number |
16H01261
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和多 和宏 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (70451408)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 発声学習 / 学習臨界期 / エピジェネティクス / 感覚運動学習 / ソングバード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究目的は、『脳内エピジェネティクス変化による運動パターン学習と維持メカニズムの実験的な検証』を目指している。そのために、本研究では、鳴禽類ソングバードの発声学習を学習行動モデルとして、「自ら声を出す」という自発的行動量の蓄積が、その学習臨界期中の脳内遺伝子発現動態にどのような影響を与え、またその遺伝子発現変動が発声学習発達にどのような学習行動発達レベル(発声行動の発達変化)に影響を与えうるのかを行動依存的エピジェネティクス制御の観点から研究を進めている。このために、平成28年度においては、学習臨界期中のキンカチョウ幼鳥個体に、発声行動によって発現誘導されるエピジェネティクス制御遺伝子群の人工的な発現誘導を介して、学習臨界期特異的に制御される神経可塑性遺伝子群の発現調節を人為的に行うことを目的として、次の3点の実験を施行した。1.アデノ随伴ウイルス(AAV)の逆行性感染性能による選択的な脳内神経細胞集団への遺伝子導入、2. Cre-Flexシステムによる投射ニューロン選択的遺伝子発現操作、3.DNA脱メチル化を促進するTET触媒型タンパク質のAAVによる脳内発現実験を実施した。これら実験手法を、今後、学習臨界期中の発声行動経験によって遺伝子発現変化が大きく観察される歌神経核RA投射ニューロン群に応用利用し、「脳内エピジェネティクス変化による運動パターン学習と維持メカニズム」の実験的検証を施行する予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた3点、(1)アデノ随伴ウイルス(AAV)の逆行性感染性能による脳内神経細胞への遺伝子導入、(2)Cre-Flexシステムによる投射ニューロン選択的遺伝子発現操作、(3)TET触媒型タンパク質のAAVによる脳内発現、を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、H28年度に確立したエピジェネティクス改変技術を歌神経核RA投射ニューロン群に応用利用し、「脳内エピジェネティクス変化による運動パターン学習と維持メカニズム」の実験的検証を施行する予定にしている。
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