2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規分子活性操作法によるシナプスダイナミズムの意義の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Principles of memory dynamism elucidated from a diversity of learning systems |
Project/Area Number |
16H01287
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
村越 秀治 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (90608142)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光応答性分子 / アデノ随伴ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶の最小単位と考えられるシナプス内には、各種シグナル分子が数個~数十分子程度ずつしか存在していない。そのため、各分子の数や活性の揺らぎによって個々のシナプスの状態は時空間的にダイナミックに変動していると考えられる。記憶にとって、このようなシナプス単位での状態揺らぎ(変化)の意義は何であろうか? 本研究では、申請者が独自開発を進めている新規光遺伝学的プローブを個体動物に適用する。特に、シナプス集団の光操作法を開発・応用することにより、シナプス集団の反応性や状態の揺らぎ(シナプスの記憶ダイナミズム)の意義を見出すことを目的とする。 本年度は、申請者らが開発に成功しつつある遺伝子コードされた光応答性シグナル分子を個体動物に導入するためのアデノ随伴ウイルスベクターの作製を目指した。開発に成功しつつある光応答性キナーゼをパッケージングしたAAV9の沈殿法による作製を試みた。精製したアデノ随伴ウイルスベクターを海馬スライスのCA1領域にガラスニードルで導入したところ、感染後1週間程度で蛍光タンパク質と光応答性キナーゼの発現が神経細胞で見られた。このサンプルを2光子蛍光顕微鏡下で観察し、スパインで光照射を行ったところ、スパイン体積の増大が見られた。すなわち、個体動物で発現させるための準備ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった光応答性キナーゼのアデノ随伴ウイルスベクターの作製に成功した。さらに、海馬スライスのCA1領域の神経細胞において、シナプスの光操作に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、作製したアデノ随伴ウイルスベクターを個体マウスに感染させ、覚醒マウスでの光応答性キナーゼの光活性化を試みる。
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