2016 Fiscal Year Annual Research Report
放射状グリア突起内CDC42EP4セプチン複合体の生理機能と凝集体残留機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Glial assembly: a new regulatory machinery of brain function and disorders |
Project/Area Number |
16H01334
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木下 専 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30273460)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セプチン細胞骨格 / Bergmannグリア / tripartiteシナプス / グルタミン酸クリアランス / GLAST / 重合性GTPase / 免疫電顕 / 3D再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳皮質のBergmannグリア(BG)は神経伝達の調節や恒常性維持を担う大型放射状グリアである。グルタミン酸作動性シナプスを被覆する菲薄なBG突起の細胞膜直下にはセプチン細胞骨格を構成するサブユニット(SEPT1-14)の多くが集積する。個々のセプチン遺伝子欠損マウスは神経突起形成不全、黒質-線条体ドーパミン神経伝達減弱、内耳低形成などを呈するが、小脳機能障害が顕在化した例はない。一方、CDC42EP4(CDC42およびセプチンと会合する機能未知蛋白質)欠損マウスは小脳機能障害を呈するが、そのメカニズムとして、足場であるセプチンからGLASTが解離することによるグルタミン酸クリアランス効率の低下であることを示した(Nat Commun 2015)。しかし、小脳に高発現するセプチン細胞骨格の局在・組成・機能には不明な点が多いため、グルタミン酸作動性シナプスとBG突起から成るtripartiteシナプスにおける主要サブユニットの分布パターンを、連続切片の免疫電顕画像からの再構築(ssTEM)法にて3Dマッピングした。分析の結果、① SEPT3はニューロン選択的でありグリア内にはない、② SEPT2/4/8/11は シナプス近傍のスパイン頚部を取り巻くBG突起の細胞膜直下に集積する、③ SEPT5/6/7の分布パターンは①②の混合型である、ことがわかった。以上その他の知見から、セプチン細胞骨格の組成は、ニューロンでは5-11-7(+3) or 5-6-7(+3)、BG突起では4-11-7, 4-8-7, 2-11-7, 2-8-7と推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記データは今年度上半期に投稿予定である。上記データに基づき、セプチン重合の要となる必須サブユニットSEPT7をBG選択的に欠損させてセプチン細胞骨格系を破綻させたところ、細胞質内に多数の凝集体が発生し、オートファジー系やUPS系による分解を免れて残留している可能性を見出したため、病理学的にも興味深い現象として解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
フィラメント組成の違いが会合分子の違いを介して多様な生理機能を生み出すと推測される。パーキンソン病および関連疾患ではセプチンがシヌクレインと共凝集すること(Neuron 2007)も視野に入れ、上記の解析で得られた知見を現在進行中のIP-LC/MS/MSデータの解釈やノックアウトマウスの解析にも活用して生理機能と病態への関与を探索する。
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