2016 Fiscal Year Annual Research Report
Unraveling of relationship between lipoquality and raft structure/function by high-resolution single-molecule imaging
Publicly Offered Research
Project Area | Quality of lipids in biological systems |
Project/Area Number |
16H01358
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 健一 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点准教授 (50423059)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ラフト / 細胞膜ドメイン / 1分子観察 / スフィンゴミエリン / GPIアンカー型タンパク質 / 糖脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質ラフトは、細胞膜上のシグナル伝達のプラットフォームとして注目されてきたが、その構造やシグナル伝達における役割などの実体は、いまだ解明されておらず、大論争の最中にある。細胞膜を構成する脂質の種類が非常に多いために、ラフトドメインと非ラフトの領域の境界の線張力が下がり、大きなラフトができないことが、ラフト研究の難しさの原因とされている。本研究の目的は、細胞膜上の小さなラフトの形成機構と、ラフトがその小ささを生かしながらどのように機能(細胞内へのシグナル伝達や抑制)するのかを、高精度1分子イメージング法を用いて解明し、脂質クオリティの多様性の生理的意義の一つを見出すことである。 当年度、ラフト脂質マーカーであるスフィンゴミエリン(SM)プローブ、DSPCプローブ、非ラフト脂質マーカーであるDOPCプローブを開発(世界初)し、そのキャラクタリゼーションを終えることができた。これらのラフト、非ラフトリン脂質を開発したことにより、以後、ラフト研究が格段に進むと期待できる。 我々は、これらのプローブの1分子イメージングを行い、小さなラフト形成機構の解明を試みた。スフィンゴミエリンプローブは、GPIアンカー型タンパク質CD59の刺激前後ともに、CD59を含むラフトにダイナミックに出入りし、CD59の会合度が増加するにつれ、より長期間リクルートされることを見出した。一方で、非ラフトリン脂質DOPCの場合には、刺激の有無に関わらず、短い時間しか共局在しなかった。さらに、ラフトに対する親和性が曖昧であったFcepsilon受容体についても、リガンド添加して受容体会合後にだけ、スフィンゴミエリンプローブの長期間のリクルートが観察された。これらの結果から、定常状態の細胞上でも、短寿命のラフトが形成されているが、受容体刺激後、より安定な(しかしなおもダイナミックな)ラフトが形成されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで、ラフトに分配されるスフィンゴミエリンプローブが存在しなかったが、これを開発できた意義は大きい。さらにスフィンゴミエリンプローブは、ライセニンなどのタンパク質との結合活性を保持(天然のスフィンゴミエリンの6割程度)していることも明らかになった。さらに、ホスファチジルコリンの構造を保持したDSPCプローブやDOPCプローブを開発できた。これらの蛍光リン脂質プローブを用いたライブイメージング(1分子イメージング)によって、ラフト研究が格段に進むと期待できる。 また、開発したリン脂質プローブを用いて、ラフト形成過程を可視化できたことも重要である。ここで得た結果は、CD59やFcepsilon受容体などは、まずタンパク質相互作用によりダイマーやオリゴマーなどの会合体が誘起され、それから協同的なラフト脂質相互作用により会合体が安定化されること、をさらに裏付けた。当初の目標を達成しており、研究計画は順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当年度に新脂質プローブを0.5ミリ秒の時間分解能で1分子観察したことにより、ラフト分子の拡散を止めるような小さな膜領域は存在せず、観察したどの分子も、細胞膜上を拡散し続けることを明らかにした。 今後は、さらに時間分解能を0.1ミリ秒まで上げて、1分子観察する。ラフト分子が、細胞膜のコンパートメント間を飛び移る頻度を調べ、非ラフト分子と比較する。もしラフトが大きければ、飛び移る頻度が下がるはずである。モンテカルロシミュレーションにより、ラフトサイズを求める。 細胞膜脂質同士の表裏カップリングによるラフト形成があるかどうかを検証する。そのため、ホスファチジルセリン(PS)を欠損したCHO細胞膜とインタクト細胞膜上で、リン脂質プローブの拡散を比較する。また、様々なアルキル鎖長のリン脂質プローブを合成し、拡散を比較し、プローブの会合を比較し、表裏カップリングの有無を検証する。 刺激後のラフトが小さいとシグナル伝達効率が上がるという仮説を検証する。そのため、様々なサイズのCD59会合体を形成させて、3色同時1分子観察によりCD59直下でのシグナル分子の活性化を観察し、シグナル伝達効率を求める。これにより、CD59会合体の大きさとシグナル伝達効率の関係を調べる。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Raft-based sphingomyelin interactions revealed by new fluorescent sphingomyelin analogs2017
Author(s)
Masanao Kinoshita*, Kenichi G. N. Suzuki* (*equal contribution), Nobuyuki Matsumori, Misa Takada, Hikaru Ano, Kenichi Morigaki, Mitsuhiro Abe, Asami Makino, Toshihide Kobayashi, Koichiro M. Hirosawa, Takahiro K. Fujiwara, Akihiro Kusumi, and Michio Murata.
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Journal Title
J. Cell Biol.
Volume: 216
Pages: 1183-1204
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Raft-based interactions of gangliosides with a GPI-anchored receptor2016
Author(s)
Naoko Komura*, Kenichi G. N. Suzuki*, Hiromune Ando* (*equal contribution), Miku Konishi, Machi Koikeda, Akihiro Imamura, Rahul Chadda, Takahiro K. Fujiwara, Hisae Tsuboi, Ren Sheng, Wonhwa Cho, Koichi Furukawa, Keiko Furukawa, Yoshio Yamauchi, Hideharu Ishida, Akihiro Kusumi and Makoto Kiso.
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Journal Title
Nat. Chem. Biol.
Volume: 12
Pages: 402-410
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Confined diffusion of transmembrane proteins and lipids induced by the same actin meshwork lining the plasma membrane.2016
Author(s)
Takahiro K. Fujiwara, Kokoro Iwasawa, Ziya Kalay, Taka A. Tsunoyama, Yusuke Watanabe, Yashuhiro M. Umemura, Hideji Murakoshi, Kenichi G. N. Suzuki, Yuri N. Nemoto, Nobuhiro Morone, and Akihiro Kusumi.
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Journal Title
Mol. Biol. Cell
Volume: 27
Pages: 1101-1119
DOI
Peer Reviewed
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