2017 Fiscal Year Annual Research Report
腸管寄生原虫“脂肪酸代謝”の特殊性の解明―寄生適応戦略について―
Publicly Offered Research
Project Area | Quality of lipids in biological systems |
Project/Area Number |
16H01365
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
見市 文香 (三田村文香) 佐賀大学, 医学部, 助教 (70576818)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 赤痢アメーバ / 寄生適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)は、ヒトの大腸に感染し、アメーバ赤痢を引き起こす寄生虫である。赤痢アメーバの硫酸代謝は含硫脂質代謝に特化していて6種類の含硫脂質が合成される。これまでに、この中の1つがコレステロール硫酸でありシスト形成制御分子であること、寄生適応に寄与している可能性を既に報告している。 今回、6種類のうち2種類が新規含硫脂質fatty alcohol disuflates(炭素鎖が異なるfatty alcohol disulfates)の混合物であることを見出した。そして、この分子が栄養体期の原虫の生存に必須な分子であること、さらに、合成酵素である硫酸基転移酵素(10種類、EhSULT1-10)および分解酵素であるスルファターゼ(5種類、EhSF1-5)の遺伝子発現抑制株を作製、含硫脂質の合成能を解析した結果、それぞれの産物を同定することに成功した。赤痢アメーバの生活環はシスト期と栄養体期で構成されている。以上のことから、赤痢アメーバの含硫脂質代謝は、シスト形成制御分子と、栄養体期の増殖に必要な分子の両方を産生する、つまり、赤痢アメーバの種としての維持に重要な経路であると考えられる(Mi-ichi F, et al., Molecular Microbiology、2017)。また、赤痢アメーバが産生する含硫脂質の1つコレステロール硫酸がシスト形成制御に関わることに関連して、 “シスト形成”の分子機構に関するこれまでの知見について概説、さらに、含硫脂質代謝の重要性との論理的関連性などを含めた当該研究領域の展望について述べた総説を発表した(Mi-ichi F, et al., PLoS Phatogens, 2016)。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)