2016 Fiscal Year Annual Research Report
Temperature response signaling in the mouse circadian clock
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological phenomena with temperature as a key theme |
Project/Area Number |
16H01380
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
深田 吉孝 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80165258)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 概日リズム / 時計遺伝子 / 転写リズム / 翻訳後修飾 / 温度応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の約一日周期のリズムを生み出す概日時計は、自律的に約24時間周期で振動する頑強性と、24時間周期の環境サイクルに同期する柔軟性を兼ね備えている。本研究ではまず、細胞リズムが温度変化に応答(同調)する様式を定量的に解析する実験条件を決定した。PER2タンパク質とルシフェラーゼとを融合したノックインマウスを利用し、マウス胎児から単離した線維芽細胞(MEF)に対して様々な時刻に微弱な温度変化を与えると、細胞のリズムは刺激時刻に依存してその位相を変化させた。さらに、12時間ずつの微弱な温度サイクルを与えると、細胞は数日で新しい温度サイクルに同調した。一方、様々な一定温度で細胞リズムを測定した結果、そのリズム周期はほとんど変化しないという温度補償性を確認した。このように、これまで複数の生物種で記述されてきた現象をMEFにおいて測定する条件を確立した。さらに、同様の結果は、PER2::Lucマウスから調整した、時計臓器においても観察された。 温度変化は上昇と下降という両方向に意味を持つ重要な入力シグナルである。このような両方向性のシグナルに対して逆方向の活性応答を示し得る分子として、MAPKカスケードの上流に位置するASK1-3 (ASKs)に注目して研究を展開した。まずPER2::Luc-MEF に対して、温度を模倣してASK活性を上昇または下降させる刺激を行うと、刺激時刻に依存して細胞時計のリズム位相を変化させた。さらに、ASK活性を恒常的に上昇または下降させると、細胞時計のリズム周期が短周期化または長周期化することが判明した。次に、ASKsの三重欠損(TKO)マウスとPER2::Lucマウスを交配し、得られたMEFを用いて同様の実験を行った結果、刺激に伴うリズム位相や周期の変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に従い、細胞リズムが温度変化に応答(同調)する様式を定量的に解析する実験条件を決定することができた。さらに、温度を模倣したシグナルとしてASK活性の変化に着目した研究を展開し、想定以上の成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画に従い、体内時計のメカニズムにおけるASKシグナルの重要性と温度とのリンクに迫る研究を展開するとともに、当初のアイデアだけにとらわれず、新たな研究アプローチで温度生物学とリズム研究の橋渡しをするような鍵分子を同定したい。
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