2016 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性温度プローブタンパク質の開発と生物への応用
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological phenomena with temperature as a key theme |
Project/Area Number |
16H01390
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 雅裕 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (30467617)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温度イメージング / 蛍光タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
温度感受性が大きい蛍光タンパク質と小さい蛍光タンパク質を組み合わせることにより、レシオメトリックな蛍光性温度プローブ、gTEMPを開発した(Nakano et al., PLoS ONE, 2017)。gTEMPは2つの蛍光タンパク質の蛍光強度の比で温度をイメージングするため、細胞の形やプローブの発現量に依存しない定量的な温度のイメージングが可能である。また、5℃から50℃までレシオ値が変化することを確かめており、培養細胞だけでなく植物やメダカなど変温動物にも適用可能である。gTEMPを用いてミトコンドリア内膜のプロトン濃度勾配の脱共役剤を添加した時のミトコンドリア内の温度上昇や、これまで他の細胞内温度プローブを用いて報告されていた細胞内温度が不均一であるデータを得ることができた。さらに、生きた個体内での温度計測に挑戦し、メダカの初期胚においてもgTEMPの発現を確認し、温度分布のイメージングに成功した。 しかし、gTEMPにも問題点がある。紫外領域の波長で励起する必要があるため、生体試料への光毒性や試料の自家蛍光の影響が無視できない場合がある。これらの問題を解決するために、より長波長の励起光で励起できる温度プローブタンパク質の開発も進めている。具体的には緑、黄、橙、赤色の蛍光タンパク質の蛍光強度や蛍光スペクトルの温度依存性を調べて、温度による変化が大きい蛍光タンパク質と小さい蛍光タンパク質を探索した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光性温度プローブタンパク質であるgTEMPの開発に成功した。紫外領域の波長で励起する必要がある点など克服すべき課題はまだあるが、gTEMPを用いて細胞内小器官から個体レベルの温度測定が可能であることを示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
より長波長の励起光で励起できる温度プローブタンパク質の開発を行いつつ、随時領域内の研究者に使用してもらう。そして、その研究者らと議論しながら温度プローブの発現条件や蛍光観察条件を決定する。そして、個体内発現による温度計測を実施する。例えば、連携協力者と個体内(メダカの初期胚)における数時間~半日程度の温度イメージングを試みる。プローブの発現方法として、mRNAを1細胞期にインジェクションすることで、胚に発現させる予定である。蛍光観察条件についてもタイムラプス時の励起光の照射強度だけでなく、メダカ胚の向きや固定条件を議論しながら試行する。このように試料ごとに最適な発現条件や蛍光観察条件を連携研究者、及び共同研究者と議論を行い探索する。また蛍光タンパク質の特徴を生かしてミトコンドリア、核、細胞膜などの細胞内小器官に発現できる温度プローブも作製する。そして、培養細胞の細胞内小器官ごとに異なる波長のプローブを発現させ、1細胞内の温度分布を作製する。例えば、細胞周期の各ステージでの温度分布がどうなっているかを観察する。この場合、各プローブの温度に対するシグナルのキャリブレーションが必要であるため、顕微鏡上で細胞培養皿の温度を調節できるフィードバックシステムを用いる。
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[Presentation] 蛍光性温度プローブ2017
Author(s)
中野雅裕
Organizer
研究会「分子観察による生命の階層横断的な理解」
Place of Presentation
分子科学研究所 研究棟201号室
Year and Date
2017-03-21 – 2017-03-21
Invited
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[Presentation] 細胞の温度測定法2016
Author(s)
中野雅裕
Organizer
第1回バイオナノフォトニクス研究会
Place of Presentation
富国生命ビル4階【まちラボA】
Year and Date
2016-09-02 – 2016-09-02
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