2016 Fiscal Year Annual Research Report
運動による積極的熱産生増大システムの温度生物学的意義とその制御機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological phenomena with temperature as a key theme |
Project/Area Number |
16H01391
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 神戸大学, 医学研究科, 教授 (40294219)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エネルギー代謝 / 骨格筋 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
β2アドレナリン受容体遺伝子flox(β2AR-flox)マウスと骨格筋特異的にCreリコンビナーゼを発現するMLC1f-Creトランスジェニックマウスとの交配により、骨格筋特異的β2AR欠損マウスを作成した。また、テレメトリーセンサー温度計を大腿皮下に留置することにより、マウス運動中の骨格筋の温度変化の計測系を確立した。野生型マウスではトレッドミル運動負荷を与えると、運動開始後30分以内に骨格筋温が約1.2度上昇したが骨格筋特異的β2AR欠損マウスでは0.8度程度の上昇に留まった。また、骨格筋特異的β2AR欠損マウスの骨格筋では、運動時にPGC1αを始めとしたエネルギー代謝関連遺伝子の発現上昇が抑制されており、運動時のエネルギー消費には骨格筋でのβ2アドレナリンシグナルが重要な機能を果たすことが明らかとなった。また、骨格筋特異的β2AR欠損マウスでは、運動による脂肪組織重量の減少が抑制されることも明らかとなった。以上の結果から、運動により活性化される骨格筋のβ2アドレナリン受容体シグナルが、骨格筋の熱産生を通じて全身の代謝制御に重要な役割を担うという、当初の申請者の仮説がほぼ証明されたといえる。 また、KLF15floxマウスとMLC1f-Creトランスジェニックマウスとの交配により骨格筋特異的KLF15欠損マウスの作成を行った。本マウスは、定常状態においては脂肪量や筋肉量、エネルギー代謝などに大きな異常がないことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり骨格筋特異的β2AR欠損マウスを作成した。本マウスの骨格筋では運動時の熱産生が低下していることが明らかとなり、本計画開始時の仮説の一つが証明された。また、やはり当初の予想通り本マウスでは運動による脂肪組織重量の減少が抑制されていることも明らかとなり、運動時の骨格筋の積極的熱産生システムの生理学的意義の一端が明らかになったといえる。 また、当初の予定通り、骨格筋特異的KLF15欠損マウスを作出し、定常状態での表現型の解析を終了した。これにより当初の計画にしたがって運動時の代謝変化を解析する準備が整った。これらの点から、ほぼすべての計画は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定通り、骨格筋特異的β2AR欠損マウスの運動時の熱産生のメカニズムについて、UCP3の発現制御機構などと関連も含めて解析を進める。また、骨格筋特異的KLF15欠損マウスについての運動時の熱産生のメカニズムやその聖地的意義についても検討を進める。具体的には今までに確立したテレメトリーセンサー温度計の大腿皮下留置による骨格筋の温度変化の計測系や代謝ケージでの解析により、運動中のエネルギー消費や熱産生、運動中の骨格筋の温度変化の解析を行う。また、運動による脂肪量の変化や運動耐容能についても検討し、KLF15の運動時の熱産生増大システムと運動能力や脂肪量維持機構への関与について検討する。
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