2017 Fiscal Year Annual Research Report
一次体性感覚野における温度センシング機構とその経験依存的可塑的変化
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological phenomena with temperature as a key theme |
Project/Area Number |
16H01399
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
江藤 圭 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 助教 (30545257)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 一次体性感覚野 / 抑制性神経細胞 / 温度 / 2光子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
温度感覚は外部環境の温度を検出し、適応するのに必須の感覚である。温度情報は末梢から脳へと伝達され様々な領域で処理される。その一つである一次体性感覚野(S1)は触覚、痛みの強度・部位を認識する役割を持つ。温度に関してはヒトではS1の電気刺激で温度感覚が発生することや皮膚の温度刺激によりS1が活性化することが明らかにされている。また、げっ歯類では温・冷刺激のそれぞれに対してS1神経細胞が応答することが報告されている。これらのことからS1の神経細胞の機能が温度情報処理に寄与することが示唆されている。しかし、細胞種別、特に興奮性・抑制性神経細胞がどのように皮膚の温度情報を処理するかはわかっていなかった。そこで、2光子顕微鏡を用いてS1興奮性・抑制性神経細胞の温度刺激に対する応答を検討した。その結果、温刺激に対して興奮性神経細胞も抑制性神経細胞も応答した。刺激時間40秒と長くすると、刺激開始時のみ温度に対する応答を示し、その後ベースラインまで戻った。これはアダプテーションが温刺激に対して起きていることが示唆された。冷刺激に対して興奮性神経細胞も抑制性神経細胞も温刺激と同様に応答した。また、40秒の刺激では、刺激直後のみに応答し、ベースラインまで戻った。このことからS1神経細胞は冷刺激に対してアダプテーションを示すことが示唆された。さらに、温刺激応答興奮性・抑制性神経細胞の空間分布を検討したところ、空間的な関係はなかった。冷刺激についても同様であった。また、1つの細胞で温・冷刺激に対してどのように応答するか検討したところ、興奮性・抑制性神経細胞ともに温のみ、冷のみ、そして温・冷両方に応答する細胞がいることが明らかになった。これらの結果から、S1興奮性・抑制性神経細胞による皮膚温度情報処理機構の一端が明らかになった。
|
Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
|